明治が舞台。
老舗の呉服屋だが経営難に陥っている三つ星を、
英国で色々学んで帰国した三男・星乃虎三郎が立て直しを図る物語。
絵も綺麗だし、単純にのし上がっていくのではなく苦労や人間関係の描写も丁寧でとても良い。

現代から見れば、折角の建物をなんでかんでも洋風にすれば良いわけではないので
建て直しはやめて欲しいと思ってしまうところではあるが。

初めは虎三郎よりで読んでいたが、確かに大変な時期にいなかった人間がいきなり帰ってきても
受け入れられないのはそれはそうだ。
だが「たかが手代が星乃家の者に軽口を叩くな」というのも正しい。

鷹頭が説明もしてくれないのは困るが
そうしてでもやりたいことをやる、迷う前に動く、
立ち止まらないというのは、ビジネスパートナーとしては有り難い存在だ。
必要な女性店員の候補を集めておいてくれる有能さは勿論のこと、
「選ぶのは俺で決めるのはお前だ」という台詞も痺れる。

そういう時代とは言え、卯ノ原さんが女学校を出ていて背も高くて
頭も小さくて、頭が良くスタイルも良いということだろうに、
着物が寸足らずで嫁の貰い手もない変な娘扱いされるのは心が痛む。

女の癖に役者をやったり店員をやったり出しゃばり、
と男性陣が休憩中話しているのもうんざりだ。
時代のせいかと言うと、現代でも目立つ女を生意気、でしゃばりという男はたくさんいる。

存寅さんがいなくなるという衝撃の事態にも
「手間が省けた」と言う鷹頭が流石だった。

どんな展開になっていくのか、非常に楽しみ。