犬の伊勢参り (平凡社新書)

過日、「一生に一度はお伊勢参り」と思い行ってきた。
犬のお参りについては知識として知っていたし
実際土産物でそうした関連の名前やデザインのものも見かけた。

犬は大好きだし賢い生き物だとは思っているが
犬がたったひとりで往復できるとは流石に思えない。
実際のところどんな感じだったのだろう、と思いこの本を手にとった。

最初の犬のお伊勢参りがは、明和8年4月16日だという。
本来犬は穢れがあるから入れないのだが、手水で水を飲んで体を清め、お宮の前で平伏したのだとか。
実際犬がどういうつもりだったかはさておき、なかなかかわいらしい光景ではある。


「抜け参り」や「御蔭参り」の後を追いかけた結果、伊勢神宮まで辿り着くというのはありそうな話だ。
犬の伊勢参りの話が広まって、首に書付などをぶら下げて歩いていれば
現代日本人よりも”お節介”だったと思われる日本人たちが、
声をかけてこっちだと呼んだり船に乗せたりして面倒を見てやり
神宮まで辿り着くこともあろう。
お伊勢参りだろうと誤解して木札を書いてやった犬が三年かけてお伊勢参りなど
昔の日本っぽい話でちょっと笑ってしまう。
犬ほんにんはどう思っていたことか。
お伊勢参りをするのは白犬というのも面白い。
白い犬=霊力が高い だからお伊勢参りをしにいくのだと
人間が勝手に勘違いして話が大きくなることもありそうだ。

豚や牛の伊勢参りについても書かれており、これも興味深い。

人と動物との距離感が代わり、町犬がいなくなり
綱をつけて繋いで飼うのが普通になれば、お伊勢参りのお犬がいなくなるのも当たり前だ。
明治になって途絶えてしまうというのもさもありなん。

眉唾の御伽話ではなく、調査に基づいて書かれており
大変面白かった。