映画 邪魚隊 感想

正直に言えば流司くんが出ていなければ、進んで見に行くジャンルではない映画だったが
見てみて何も考えずにそっくり楽しめてとても面白かったし
舞台のチケットも取っているが、舞台もとても楽しみになった。

ミュージカル時代劇というのが少しネガティブに思っていたのだが
思ったより歌が出てこなかった。
自分の思いを歌に乗せるというパターンではなかったので逆に物足りないくらいだった。
将軍が歌うところがラップという設定的にはとんでもないものなのだけれど
敵の正体を余すところなく軽快に分かりやすく伝えて非常にまとまっていて
とても面白かった。
敵に音楽が有効だという設定も、ただミュージカルをくっつけただけでなく
歌うことに意味があったのが良かったと思う。

ストーリー的には良い意味であっさりしていて分かりやすく
きっとこうなるだろう、次のシーンでこう来るだろうという期待が裏切られることが全くなくて
古き良き時代劇を見ている気持ちになった。
個人的には深みのあるストーリーの方が好きなので、浅いと言えば浅いし
隊のメンバーの存在感が薄い、特に比売知は変装シーンも無くちょっとがっかりはしたが
舞台での展開に期待したいところ。

やはり特筆すべきは俳優さんたちの演技で、普段舞台をやっている俳優さんが多いからと言っても
長回しであれだけのアクションをこなすのは相当神経を使うと思う。
目まぐるしい立ち回りに圧倒された。
特に鱗蔵は釣竿という普通獲物としては使わないものを武器としていて
コミカルに敵の顔に引っ掛けてみたかと思えば
鮮やかに敵の足をすくい、釣り竿の特性を生かした殺陣なのが素晴らしい。

流司くんご本人もそれを心がけたとおっしゃっていたが
普段の殺陣と違い綺麗すぎず、適度に荒っぽさが加えられていて
今まで色々なことをしながら町で生きてきたいかにもアウトローな鱗蔵っぽさが出ていてすごかった。

HELLO!MOVIEアプリのコメンタリーで言っていたが、
お蕎麦屋さんで平馬を止める時お箸を喉元に突きつけるのは流司くんが考えたそうで
台本上止めるとあるだけのところに対してどうするかと監督が聞いたら
こう止める、とすぐにしかも格好の良い答えが返ってきたというのも
流石だなと思う。
ちょっとお行儀が悪くもあり乱暴でもあり、手練れでもある感じが良い。
舞台で更にいろいろな殺陣や芝居が見られると思うので楽しみだ。

東映ムビ×ステ『邪魚隊/ジャッコタイ』
https://toei-movie-st.com/jakkotai