この状況で医者というポジションにいたら
どんどん追い詰められていくだろう。
自分がなんとかしなければと思うだろうし
病が分かるからこそ「伝染病ではない」ことがわかり
得体が知れないという事実にも最前線で当たるしかない。
看護師のみなさんが良い人たちなのが本当に救い。
敏夫がいつもの憎まれ口を叩いたときはちょっとほっとした。

静信も自分なりに動いて、ふたりが互いを許したり怒ったりするのも
少々ハラハラしつつ、眉唾ものではあっても仮説に辿り着く。
とは言えまだ2巻なので、この仮説がどう転ぶのか。

それにしても情報共有と情報の取捨選択が本当に必要なのだとつくづく思う。
ひとつひとつは些細な情報だからこそ、登場人物たちは気づかず、読者だけが気がつく。
読者は神視点で読むだけに、原因がはっきりせずともそれをやってはいけないだろう、これが共通点だろうということはわかる。
このじっとりした怖さが秀逸だ。

夏野がもし”おめでたい”子で大人を信じて恵を見たと正直に医者に相談するような幼さがあれば
もっと話は違ったのかもしれない。