関守の話は珍しく結果怖くなくて優しいお話だった。

まつとし聞かばは折角少しは明るい話題になるのかと思ったなんの罪もない子猫がころされたことや
飼主が入院して動物たちがたくさん死んでしまった話がとても辛かった。
父親が小春の死を隠していたことを、息子に謝ってくれて良かった。辛いけれどお別れが言えない方がもっと辛い。

魂やどりての育、のっけから抽斗を踏み台に使おうとするのに驚いた。
DIYができるなら踏み台だって作れば良いのに。
箪笥の抽斗を使うのも、それ以外の部分はいらないと言うのも酷いと思う。
布を壁に貼るのは良いが、着物を切ってマットにしたり箸置きを埋めたり、本来それに使う為に生まれた道具を
違う使い方をするのも、カミシモの区別がついておらず
着物や箸置き、抽斗を下に敷くのもぞわぞわする。
最初から綺麗な建物と、業者に頼んで自分好みに綺麗にしてもらう建物は全然意味も違う。
真穂さんはとても優しい。病気の人を見舞って、
家に招いてくれるなんて。
病死でも事故物件ではあるが、確かに死んだ場所が家でないなら事故物件ではなく告知義務も無い。
光子にも山崎にも、尋ねるのではなく端から喧嘩越しで、それは「あんた自身のせいだ」と言いたくなる気持ちも分かってしまう。
物への愛情が全然無い人だなと思う。
こぎん刺しだと気が付かなくても、着物を着なくても
額装するとかタペストリーにするとかならまだ分かる。

真穂が光子から和裁を習っているというのがちゃんと伏線になっていて素晴らしい。
育のことを良く思っていなかったのに、光子さんもとても優しい。
真穂と光子がしていることが手入れであり、育がしているのはそれとは違うことであるというのがしっくりきた。

水の声はミスリードが面白かった。
幻覚の距離が縮まったのは物理的な距離が縮まったから、というのはぞっとした。
お話としては悲しいものなのだが、最後の会話にあった通り助けられた訳ではないが見つけられて良かった。

まさくには、こうしたお化けの類の話では度々思うが
できたら怖い姿で出てこないで欲しい。
せめて血が流れていなければと思うのだが
不遇な亡くなられ方をしたように思うのに
親切な方なのはありがたく、ご先祖様がそんな人だというのは
確かに樹くんも嬉しく思えるだろう。