緩急をつけた描写は真保先生ならではで引き込まれる。
緊迫した様子から始まり、実は訓練で、といった最初の部分や
敵と結託して打開するというようなところは真保節だなと思う。
ピンチなのにユーモアを込めたやり取りができたりするのもそうだ。
一点、フォークをサンドイッチの中に入れるという大胆なことをしておいて
目の前で震えだしてしまうのはちょっとなと思ってしまった。
そこまで大胆な行動に出るべき局面ではまだなかったように思う。

ただ、最近の著書で度々感じるが、多分先生自身が
自虐史観をお持ちなのだと思う。
戦争はテロとは違うし、
現代日本人は確かに平和ボケしているかもしれないが
過去の日本人は死を恐れず戦ってきたと思う。
君等は可哀想、日本人は恵まれてるという感覚を日本人たちが持つのも違和感があった。

仲間が人質に取られて、外界とは遮断された状況で、というのは
ホワイトアウトと似ているが、ホワイトアウトのような興奮は自分はいまいち得られなかった。