前から見たいと思っていた。
非常に面白かった。
淡々と過ぎていく日々に好感が持てる。

好きなことをする。やりたくないことはやらない。
それが日本では何故か難しい。
ヘルシンキに行けば解決するという簡単なものでもないはずだが
それでもそんな何かある、森の力がある
と思える魅力があった。

サチエの生き方にはとても憧れる。
だが、現実問題はこうはいかないし
こんな生き方をするにはまず蓄えがなければやっていけない。
客がこなくてもいいと思うことは出来ないだろう。
メインメニューはおにぎりだと信念を持つことは良いが
それにこだわりすぎて見失うよりは
シナモンロールを焼いてまずの美味しさを知ってもらってから
次に繋げていくというやり方もとても大事。

ひとりで異国で食堂経営を始めるサチエも
指を差しただけで本当に旅を実行に移してしまうミドリも
とても思い切りが良い。
また、マサコの受け入れた感じも良いと思う。
荷物が見つからないと航空会社に怒鳴り散らしたり
旅行が台無しだと落ち込んだりするのではなく
受け入れて暮らし、
「荷物が見つかったから、そろそろ帰る時期なのだと思う」
という考え方がとても自由だと思えた。

人はなにかを食べないと生きていけない。
「おなかすいた」と突然おにぎりを作り出すサチエが
とても逞しく、温かく思えた。

日のあたる食堂に次々とお客さんがやってきて
こんにちはと手を上げて挨拶しつつ席に着く。
お箸、フォーク、ナイフを使い
おにぎりやフライや、思い思いに会話を楽しみながら
笑顔でご飯を食べている。
とてもほっとする光景だった。

サチエの「いらっしゃい」は確かに
あったかくて威勢が良くて、ちょっとだけ背筋が伸びて
笑顔で応えられるようないらっしゃいだと感じた。