ある人のブログで、読後感はけしてよくはないが
とても面白かった、と紹介されていた。
あらすじを知り、映画館で映画の予告版を見て
これは確かに読んでも怖くなってしまいそうだな、と
腰が引けていたのだが
いざ読んでみると面白くて一気に読んでしまった。

元々、第一章にあたる『聖職者』のみの短編だったそうで
成程聖職者だけで終わっていても
非常に後を引く面白いお話しだっただろうが
長編に書きなおされていても内容が薄まることなく
より感慨深いものになっている。

巻末の映画化によせた監督のインタビューも興味深い。
確かに、全編一人称で書かれているのだが
いくら「私は**だった」と述べていようとも
それが『私』の本心であるとは限らないという考察は、成程尤もだと思わされた。

また、それぞれの人物の視点から描かれており
事実はひとつでも、真実は人それぞれにあり
見方によってがらりと変わってしまうことの
面白さと恐ろしさを感じた。

自分が森口の立場だったら。
修哉の母親だったら。
クラスメートだったら。
一体どう考え、どう行動するのか。
色々と考え込んでしまう物語。