ネタバレあり

雑誌で面白いと取り上げられていて読んでみた。
『溜飲下がりまくりのお仕事エッセイ』ということで
期待して読んだが、個人的には痛快には程遠い内容だった。

「違う」と思うことに自分を曲げ続けていると、気づかないうちに尊厳を失うことになる。
これはよく分かる。
客と店員が対等というのも分かる。
金は料理やサービスへの対価であって、それ以上のものを要求するなら別料金で
金を払っている方が偉いというのは間違いだ。
だが、店員側が客の陰口を言ったり渾名をつけたり
良い客でもそうやって噂話をしているのは対等だろうか?

文句を言ってくる客は言い返されると思っていない
というのもその通りだと思うし、
だから理不尽な客へはもっときっぱりとした対応をして良いと思う。
だが常識なのか店のローカルルールなのかは判断が微妙なところだと思ってしまった。

家ではなく喫茶店に出かけてお茶を飲むからには
その雰囲気を味わいたいからというのは本文にもあるとおりで、
だからこそ客はもちろん店員がぎゃーぎゃーお喋りに花を咲かせてうるさいほどだったら当然不愉快だ。
コロナ対策に「過敏過ぎる」と断じているが
対策をしていると店の前に書いてある癖にまともにやっていなかったり
やっていない客を野放しにしていたりしたら
騙された気持ちになる。
喫茶店なのだから飲み物を頼めというのも
自分は暴論に感じた。
お冷だけは信じられないが、フードを頼んでいるなら別に良いと思う。
ご飯の後改めて食後のコーヒーを注文しようと思っていたが時間がなくなってしまった
なんてケースもあるだろうし
それは「嫌なら来るな」などと言うのなら「嫌ならワンドリンクルールを作っておけ」だと思う。

接客に期待するなら値段の高い店へ行け論も無しだと思う。
金額の問題ではなくて人と人との関係なのだから
お互い笑顔で過ごせば良いのだ。
安い店に愛想を求めるな、と憮然とする必要はなかろうし
高い店なら不条理に愛想を求めてもいいという意味になるがおかしいと思う。

文フリに出ていてスカウトされた様子で
文フリでそんな成功体験があるのかというのは驚いた。