河出書房新社
発売日 : 2020-09-10
それこそ推しがこの本の名前をインスタライブであげていたので
興味を持って読んでみた。

おたくの気持ちはわかる部分もあるし、
共感できないまでもそういうおたくいるよね、という感じ。
ただ、ラジオやなんかの文字起こしは著作権的にも駄目なので
それをブログにしたり、ありがたいと言って読み来てしまったり
というのがなんとも。
若い人が悪気なくやってしまっているのは実際見かけるので
リアルだとは思う。

想像していたほど推しが炎上したことについては書かれず、
推しが魅力的にも思えなかった。
人を殴ったり、それについて釈明もしなかったり
平謝りを期待されてマスコミに囲まれているときにイラッとしたり
というのは駄目だし、
解散時の対応としてもまずいと感じたので、
主人公のあかりが否定せず推し続けるところに驚いた。

自分も大好きだったバンドが解散したことがあるし
解散発表前に推しが我慢しきれなくて
自分の口から伝えたいなんて言って言ってしまうし
解散したのこいつのせいだ、なんて他のメンバーのファンから
推しも推しのファンである我々も叩かれた。
いつの間にか結婚していたし。
でも自分は考え方や生き方が好きで推していたし、
それは解散時や解散後もぶれなかったから
ずっと好きだった。

ファンの前で指輪をして見せるくらいなら、
何も言わず指輪もせず引退するか
きちんと報告して辞めるかして欲しい気がする。

リアルタイムであることが重要な気持ちはわかる。
今目の前でライブをしてる、今推しがツイートしたというのは
円盤を見たり聴いたりするときとは格別だ。
だからこそ、引退してしまってもう活躍が見られないというのは
おたくとしてキツイ。

名言されてはいないがあかりは発達障害か何かなのだろうし
だからと言って負担がかかれば周囲が大目に見るのも難しくて
バイトをクビになったり生活費を減らされたりということがあるのも
気の毒だけれど仕方ないと思う。
家庭環境も、色々と思うところはあるし、その中で推しだけが救いになる
というのもわかる。
円盤を積みたくなる気持ちも分からないではない。
バイト代で賄っている間は高額でもまぁ許されるかと思うが
学校を辞めて家も出てバイトもやめて、で推し事だけ続けるのは
虫が良すぎると思ってしまった。

あかりの生き辛さはわかるが、ならどうすればいいのだろう。
彼女は『背骨』も失ってどう生きていくのだろうか。
周りの大人たちは、そういう意味もなくなるようなことばかり
一生懸命にやって、と言うだろう。
それでも好きなものは好きで、一生懸命やることは尊いと自分は思うが
最低限自活はできないと辛いと思う。

タイトルと書き出しは面白いと感じたのだが
自分としては期待はずれだった。