村や偽のバス停の話は個人的には良いと思う。
騙すことになるとか閉鎖的だと言っても、
本人はそれで満足するのだし危険もなくなるし
良いことではなかろうか。
徘徊は自宅に帰ろうとして起こるから
居室のドアをそれぞれの自宅のドアに模してペイントすると
それで満足して居室に戻るという話も聞いたことがある。
自分も、自分であればそうして欲しいと思う。

オチとしては非常に後味が悪い。
やはりどうしても、被害者が無事であって欲しいと
どこかで思いながら読んでしまっていた。
制服を着ているとその団体の人として見なされて
公的な、悪意の無いものとしてついスルーしてしまう
というのは実際ありがちだ。

我路でガロというのは格好良いし、
印象派展が次は広島に行くから行ってみれば
と言ってくれるのも良かったけれど
腕を送ることで伝えたかったのが悲しい。
普通に遊びに来てくれる平和な未来だったら良かったのに。

バージンロードをなぜ父親と歩くと決まっているのか
という考え方はすごく面白かったし
やりたい人の考えも全く否定しないところが良い。
自分は父親から夫へ引き渡すという儀式が
自分がモノ扱いだし父が見世物になる気がして
エグいと感じるし、自分は断固としてやらなかった。
巣立ちなら本当に、一家の大黒柱になる夫こそ
親と歩いて別れて独り立ちして欲しい。

子供は乾く前のセメントという言葉、知らなかったが
面白い表現だと思う。
取り返しがつかないというのは怖いことだ。

ピンチかと思いきやしれっとお芝居ですよね
と言える整くんは流石。
我路くんが親切で広島行きを勧めてくれたのかと思ったが
まさか策略だったとは。
よくわからないまま巻き込まれていく整くん
なかなかお人好しである。