太一が相変わらずまっすぐなのは良いが
耳が聞こえなくて足元は見えるし、
見ていなくても踏んでしまったら気がつかないだろうか。
マヤはどうしても好きになれない。
ヤキモチなどいろんな感情があるにしても失礼だ。

航平の中に太一が思いの外しっかりと存在していて
それに励まされている様子なのはとても微笑ましい。

ユニバーサルデザインの社会は確かに難しい。
手話を広めるのだけでも難しいのに、
手話を広めたって耳が聞こえない人みんなと話せる訳では無い。
犀さんの言うことは正しい。

太一たちはお互い遠慮するあまりちゃんと言いたいことを言わないで誤解してしまうのがもどかしい。

これまで嫌っていた自分を肯定できるようになる。それほど太一との出会いが大切なものになった。とても大きなことだ。

大学を辞めなくても空いている時間でバイトすればよいのにと思うが
思ったことを言って追い出されなかったのが初めてと言われると少し納得するものがある。
太一の感情と行動が直結したようなところが、
現実世界なら確かにとんでもないのだけれど
マヤのことも助けて、彼女の世界をぶち破ってくれるパワーがあるのが凄いのだ。
「お前」に続けて言うのが「周りが思ってるよりずっと聴こえてないんじゃねーの」と口は悪いのに
マヤを慮る言葉なところもいかにも太一だ。
理解して欲しいんじゃなくて、この人ならきっと分かってくれるって信じたかっただけ。

好きだと手話ではなく言葉で伝えて欲しかったけれど、航平は伝えたいというより言いたいだけだったのかもしれない。
手話を知った時ちゃんとこの時の仕草を覚えている太一で良かった。しかし意味がわかったらわかったで連絡し難いのは分かる。

犀さんが会社を作った理由がとても良い。
彼女とはうまくいかなかったけれど、今自分のしている仕事がいつか彼女や彼女と同じような人を救えたら。

ボランティアのノートテイカーは知識や技術は12分でも教習の相談までは教えてくれない
というのが航平の気持ちが溢れていた。

偶然の再会から、辛くて逃げ出す太一も
追う航平もどっちの気持ちもわかるし、
これ以上すれ違わずに真っ直ぐ気持ちを向け合えて
本当に良かった。

キャンプに誘われて、動揺する航平が可愛い。
太一が子供たちになつかれているのもまた可愛かった。
不穏な前振りもありつつも、すれ違いそうになっても互いを労ってすぐぶつかり合うふたりが微笑ましい。