機会があり、読み返してみた。
以前読んだのは2006年。6年前になる。
http://booklog.jp/users/huitaine/archives/1/4103834048

想定が柔らかく美しく、タイトルに正にふさわしかった。
文庫本は通常のカラー印刷のみなので、致し方無しとは言え
その点は残念。

前回読んだときと自分の経験や立場が違っており
思うことが多く、読み返してみて良かったと思う。

相手が強い意志でもう決めたことで、こちらは受け入れるしか無い。
そのあまりの突然さは、自分とのことが大事だったからだと思いたい。
こんな感情は、前に読んだ時は知らなかった。

元気な時のお母さんを知らないからいい。
ハチクロのリカさんの台詞を思い出した。
最愛の夫を亡くす前の自分を知らない真山の前では、強がらなくていい。
それと同じだと思った。知らない人だからこそ、気楽になれることもあると思う。

体が弱ることを疎かにしすぎ、という言葉は耳が痛い。
心が強い人は心がしっかりしていればなんとかなるって思っているけれど、
ある線を過ぎると体が弱っていることが心を引っ張ってしまう。
若い内は気持ちだけでもなんとかやっていけるけれど、年を重ねれば
やはり体を大事にしなければ動いていけないと思う。
自分は体を疎かにし過ぎていたと自戒。

地元に帰って選択肢が狭まることを、窮屈に感じるのも若い内の特権なのかもしれない。
よくよく考えれば、それは悪いことではないのかもしれない。
地元のスキーインストラクターと結婚して、子供を友達の保育園に入れて。
そんな生活が、血に足が付いた落ち着いた日々のように見えるのも
経験を重ねてこそなのかもしれない。