寧さんと唐の言葉で話せて嬉しそうな道真は
いつになく年相応に可愛らしく見える。
その才を正しく使えと言う寧。
正面突破の策を考えるだけでなく、見届けると
自分も出張るところが道真の偉いところ。
業平もなんだかんだで協力して一芝居打ってくれるのは見物だった。

ひとつ得をすれば損がついて回るのは仕方ない、
一人を罰しても別の者に妬まれるだけ。
忠臣の言葉が暗く響く。
後からでも、父親にだけでも自分ではなく阿呼だと
言うだけでは気がすまなかったろうか。
阿呼のお蔭で一応は解決して空気も少しは良くなって
あのまま廊下に居たほうがきっと良かったろうに。
忠臣もまた真面目過ぎるのだろう。

山桜の話も面白かった。
きっちり芝居をする業平も好きだし、騙されてる融様が純粋。
小川を引くという発想が本当に雅だった。
道真のことを子飼いの小僧、という辺り、融もただ純粋なお貴族様では無いという描写も良い。
業平が
「恐れなどいつか克服してしまう。長く人を縛るのは情だ」
「良いことをした、これが正しかったと納得させること
己の判断で決めたと思わせることが処世の術」
と言うのも納得である。

そしてまた、一芝居打たされそうな業平様。
次も面白そうだ。