森田先生ならではの、1話目から破茶滅茶な展開で
すぐに引き込まれる。
リアルさと漫画ならではの設定のバランスが良い。
迷惑な行動をしまくる人なのにすぐ川藤に魅了されてしまう。

先輩との会話もだが、
御子柴を追いかけて何故俺に鍵を託したのか
と説得するシーンも好きだ。
もしかしたらこの人ならなんとかしてくれるかもしれない
もう一度信じてみても良いのかもしれない
そう思わせる。

相手の名前を覚える、じゃないと失礼
という真っ直ぐな考え方も好き。


確かに嫌な奴がひとり消えたらその分平和にはなるが
もし嫌な奴が良い奴になって友達になるとしたら
そっちの方が良いに決まっている。

新庄との掌の話は本当に名シーン。
この後の展開を知ってから読み返すと尚更だ。
スキャンダルを広められてもその誠実さが川藤の凄いところ。

張本に物の正しい使い方を説き、
林檎を剥いてみせ、笑顔を見て
「小さな夢が一つ叶った」という川本。
こんなことを本気で言ってもらえたらそれは泣くだろう。

安仁屋に張本が言う「おまえの一生ってきっとつまんねーだろな」という台詞、
自分もかつてそこにいて、今はそこから脱したからこそだろう。

神田川高校の生徒たちが安仁屋を引き取りにきた川藤を見て帰ってきたのかと歓声をあげるシーンもまた迫力の描写だ。
「教師やっててよかったよ」とつかえていた物が消えた気がするという川藤。
この高校でやっていたことが報われてよかった。

御子柴と関川と三人で部室の片付けをする。
若菜たちは新庄には会わねーわにしろよですませてくれる。確かにいいやつらなのだ。
しかし新庄が大暴れすることになる訳だが、この時の
職員室の描写で、誰がまともで誰がそうでないのか薄々わかってくるのも巧みな描写だ。

一生つまらない人生を過ごしてやる、と言う安仁屋は
既にその愚かさをわかってはいるのだろうと思う。