最終巻。三角関係のおはなし、と過去にミドリちゃんが解説していたそれぞれの恋に、遂に決着がつく。
はぐちゃんが、竹本くんでも森田さんでもなく、修ちゃんを選ぶところに単なる少女漫画とは違うというか、”本物っぽさ”を感じた。
竹本くんが、「間違えたくない」と不器用でも必死にはぐちゃんと向かい合おうとするところも
森田さんの”天才”としての苦悩も、読んでいて胸が苦しくなる。

個人的には、一晩語り明かした後のはぐちゃんが修ちゃんの頭を抱いてあげているシーンがとても好き。
守られているだけの幼かったはぐちゃんではなく、彼女に母性というか、花本さんへの深い愛情が感じられる。

野宮さんもすっかり青春スーツを再着用していて(笑)美和子さんも以前言っていたけれど、とりすましているよりずっと恰好良い。

竹本くんの卒業と同時にそれぞれの状況が変わっていく。
切ないけれど前向きで、心に突き刺さるような真っ直ぐさと痛々しさ。
羽海野先生が好きな曲からそれぞれとったというタイトル
『ハチミツとクローバー』が、今までの伏線を全て回収して
非常に意味のあるラストシーンを作り上げている。
とても美しい終幕。

また、二編載っている番外編もとても可愛らしく、微笑ましい。

読み切りも収録されている。
『空の小鳥』は、同棲経験のある女性なら少なからず頷くところがあるのでは。
やってあげたい気持ちはあっても、自分はあなたのお母さんとは違う
というジレンマには陥りがちだし、
それでも、ひとりなら手抜きしがちなご飯を好きな人のためになら作れること
好きな人を大事にすることと自分を大事にすることは似ている
というモノローグにもとても共感する。

『星のオペラ』は先生の発想力に脱帽。
便利で愉快なエピソードになりがちな、ドラえもんのひみつ道具を使ってここまでしっとりとした深いストーリーに仕立て上げるというのは驚く。
ハル、パパイーゴ・ママリンカ、ミンクたち、両親、愛子
それぞれの立場での愛や情があたたかく、とても感動した。