えれなとの『恋人ごっこ』が、分かる気がしてしまう。
安心してごっこ遊びできる相手はとても貴重だし
悪い男のふりをする手伝いもしてくれる。
えれながとても好きなキャラで、つい肩入れしてしまう。
ファン向けのブログを見たくない気持ちもよくわかる。
自分はファンとは違う立ち位置だから、そこに混じるのは
ちょっと違うんじゃないかと思うし、
混じって見てしまうと逆に遠く感じてしまう。

悪い男を演じていた癖に
裏では元カレ扱いを大出世と喜ぶところが爽太くんらしいし
そうやってやられるばかりではないサエコさんもなんだか流石。

爽太に手近な女に行っただけでもっとすごい女にそのうち会えるんじゃないかと言われた時のオリヴィエの
「たとえどんな お金持ちでも 美男美女でも
どんなアコガレが あっても
出会えた人としか 恋はできないよ
人生の中で巡り会える相手って案外限られてる
ハムスターは 同じカゴの中にいる ハムスターと ツガイになる
それと 同じでしょ?
それでも 好きな人が てきたんだから
僕はシアワセだし 幸運だと思ってるよ
まつりちゃんと僕を 同じカゴに入れてくれた 神様に 僕は感謝してる
片思いでもね」
という返しがとても好き。
まつりに、
「キスしたことはあやまる
でも好きになったことはあやまらない
僕はまつりちゃんが好きだよ」
と告げるところも良い。

薫子さんが男受け狙いのことを話している時、
「見え見えだから可愛いんじゃん?
見えなかったら「可愛い」って思うひまもないよ」
と言う爽太は、意外とナチュラルに”悪い男”だと思う。
こんなとこ来るのに可愛こぶらないと言ってしまうところが薫子さんらしいけれど
そこでもうちょっと素直になれたら良いのにとも思ってしまう。

所謂人並みの幸せを手に入れたサエコから見たら、
自分にしかできない能力を持っていて、それを発揮しつつ
爽太の近くで働いている薫子は眩しく見えるのは
とてもよくわかる。
サエコはサエコで、思い通りにならないことがいっぱいあるのだ。

「倉科さんは えれなの気持ち なーんにも知らないん だなって思うとさ
俺がこうやって見てる えれなを
倉科さんにも見せてやりたいよ」
という爽太の言葉はきゅんとする。
好きな人相手であるほど緊張して話せなくて
自分の中の筋も通してしまうからこそ結果不器用にしか
立ち回れないえれなは素直に可愛い。
落ち込む彼女に、
「俺が持ってきた チョコレートムース
今日はもう 遅いから
明日食べて
食べたらきっと 幸せになるよ
ちょっとの間だけかもしんないけど」
というところも好きだ。
確かにちょっとの間だけで、彼女の悩みを解消できるわけではないにしても
少しの間だけでも幸せな気持ちになれるものは大事だ。

メインストーリーとは関係ないところだけれど、
秋冬の企画を堂々と「教えなさいよ」と訊いてくる上
「ちなみにうちはねー」とあっさりばらしてくる
六道さんがとても好き。
爽太くんを認めているということでもあるだろうし。

サエコさんがメイクや靴をこんなに色々考えてチョイスしているのはシンプルにすごい。
えれなの「トップスは黒」というアドバイスはかなり納得。
ヒールの高い靴で顔が近くなるというのもなるほどなぁと思った。
一生懸命アピールしているのに、過日のミニスカートと一緒で
「男として意識されていない」と爽太に思われるのが悲しい。
にこにこ振る舞っていて、ひとりになった帰り道落ち込む彼女の靴ずれがリアル。

ムースが前からあって前からおいしかったのに、
存在が知られているか知られていないかでこんなに変わる
というのもリアルだし、現実のしんどいところだと思う。
ちゃんと美味しくても知られていないと誰も食べてくれない。

みんな幸せになって欲しい。