地球それ自体が大きな生命体という感覚は、
確かに日本人には受け入れやすい気がする。
山川草木悉皆仏性 ということに限らず、なんにでも命が宿ると取る感性があると思う。

ガイアという考え方と原子力推進は一件相反するように思われがちかもしれないが
非常に理に適った合理的な考えだ。
自分自身は原子力に反対派ではあるものの、現時点では原子力という選択肢しか無いと思っており、その理由としては本書の考え方と近い。

『エコ』は科学技術を捨て去れば良いというものではない。
火力発電は効率が悪く環境に非常に悪い。
たとえば洗剤を悪だと決めつけて、洗剤なしで皿を洗うにあたり水を大量に使うことが果たして本当に環境のためになっているのか、という話である。
ゴドーを待つ余裕の無い瀕死のガイアに対して”薬”を用いて時間稼ぎをしつつ治療を行うというのは納得がいく考え方だった。

最近の中身の無いサスティナブルやSDGsには辟易としている。
まったく、政治用語や単なるアピールとしてしか使われていないと思う。

”ほぼすべての人間は、日常生活を送る過程でガイアの破壊に従事している。毎日、毎時だ。”
という言葉は非常に簡潔に重要な事実を言い表していると思う。