ネタバレあり

クルスに取り込まれた女の子が、
「見られたいなら、生かそう。今生きてる人を助けようよ」
と言う台詞が印象に残った。
中田さんはおばちゃんを助けると言って行動したけれど
よく吐き出されるとか、無事であるとかそういったことがわかったものだ。
無理をしたのにヘリもよく墜落せずにもったと思う。
中田さんを撃ったのは英雄なのだけれど、
中田さんにしたら英雄が助けてくれたと思っているのが
知らぬが仏でもあり、ちょっと切ない。

ここから大きく物語が動くのかと思いきや、
英雄は助けを待つばかりだ。
待っていてくれと頼んだ漁師のおじさんに対して
どうしたのかも、
ビルの屋上にSOSやタスケテなどの文字があったので
他にも生きている人がいたかもしれないが
それを探したのかどうかもわからない。
車を運転できるようになったのは成長だけれど
てっこの家に行く程度で、大きな移動はしないまま。
カップ麺が駄目になってやっと作物を育てようとするくらいで、
助け出されることをずっと期待しているだけだ。
小田さんの妹があんなになってまで
約束を守って英雄を助けてくれたのに、
英雄はやっぱりヒーローになりきれず
比呂美を助ける目的も果たせず
結局は他人に興味が持てないままということなのだろう。

ここまで面白く読んだし、別に英雄にZQNを全部倒してくれることを望んでいた訳ではないが
比呂美を助けようと思っていたことがおざなりに見えてしまったのが残念だった。

一方中田さんは、英雄に見せたいと言いながら
漫画を描き続けている。
彼らは自給自足しながら、彼らだけで生きていくのだろうか。
そして、中田さんにとってはやっぱり英雄はヒーローのままなのだ。