ネタバレあり

朝ちゃんは槙生ちゃんと親子の関係ではないと
自覚しているはずだが、無意識でか
槙生ちゃんのポジションを母親として見ているところがある。
これまで大人っぽいというか、感情を見せない印象だった朝ちゃんが
時折とても子供っぽく描かれているように感じる。
槙生ちゃんとの生活に慣れてきたということなのだろうか。

書いている日記を放り出している朝。
本人は見られても平気だからと言うが、
見たくないからとじておいてと言うあたり
とても槙生ちゃんらしい。

朝ちゃんはお母さんからの圧力を感じていて
それでも母親であり、やはり寂しくて
入学式に来て欲しいと槙生ちゃんに言わず
来て欲しいと自分が思っているかもわからず
感情の揺れなのかちょっと我儘な感じが出てくる。

家族ではなく同居人なのだから
流石に同居人の了承が無いのに
勝手に友達を連れてくるのはありえない。
更に仕事中に今大丈夫?とも聞かずに
「えみり帰るって」と声をかけるのも良くない。
母親ではないのだから
もう帰りましたなどの報告は必要だけれど
見送れと言わんばかりの「帰るって」という声かけは必要なかろう。
槙生ちゃんの「今うるさい。しめてはやく」は
言い方はきついけれど
集中していてそれどころじゃないのだろうし仕方ないと思う。
それなのに「しらない、なんかコミュ障」という朝ちゃんは随分甘えている。

朝ちゃんなりにテレビ音量を小さくするなど気を使っているのは分かるけれど
ご飯をどうするのだろうと思うなら作ってあげてもいい気がした。
忙しい仕事の合間を縫ってご飯を作るまきちゃん。
以前の自分が一人暮らしだった状態だったらずっと仕事をしていただろうに。
「卵使わなかったんだ」と言われて怒る朝ちゃんの気持ちも分かるけれど
お互いにすれ違っている。

いじけている朝ちゃんだが、
察して槙生ちゃんが横に座って肩抱いてくれるのが良かった。

なりたいものになれというけど
理想と違うと反対するのが親の矛盾だ。
親なら誰しもあるかもしれないが、それを
「心配」「あなたの為」と言い訳して
子供を制限し続けるのは毒親である。

弁護士の担当さんが割と良い人そうで良かった。
自分も知らない番号からの電話は、プライベート用の電話にかかってきたときは出ないし
かかってきただけで怖いと感じるので、槙生ちゃんの気持ちはよくわかる。

笠町に慰められながら、今気づいたけど朝に同じことをした、という槙生ちゃん。
「わたしの中で慰めるといったらこうって文法になってるのかも」
というのが、2人の年月と関係性が感じられて好きだ。

男女がソファに座り肩を抱いているという状況で
さらっと朝ちゃんを呼ぶところも、
呼ばれた朝ちゃんも隣に座るところも素敵。
慌てて肩を抱くのをやめたり、朝ちゃんが躊躇したり
しないところが3人のライトな関係性の良さだと思う。