ネタバレの無い感想
ガラコンサート形式
公式サイト
https://musical-toukenranbu.jp/pages/5th_anniversary
にガラコンサートと書いてあったのでそう思って観たものの
予想以上に『ガラ』であり『コンサート』であり
5周年記念の祝祭で、そこに審神者は招待してもらえたんだなと感じました。
詳細はネタバレ有りで後述。
コンサートなら終始ライブ形式なのだろうから、1部・2部という分け方も
便宜的なのだろうと思っていましたが
そんなことはなく、振り返ってみるといつもの1部・2部に近いものもあり
素晴らしい構成だったなと思います。
ことほぎ という話
5周年記念かつ、お正月の公演。更には演者さんが複数1月にお誕生日を迎えるという点でもおめでたい公演でした。
個人的に、『ことほぐ』という言葉がとても好きでして。
言葉で祝賀する『言祝ぐ/壽ぐ』ということは、人と人が出会い言葉を交わすことでしか成り立たない。
『壽』を冠したこのお祭りは、儀式の意味合いでも穢れが許されない訳で。
昨年の刀ミュはパライソが、緊急事態宣言で中止に追い込まれ
更に幕末はカンパニー関係者に新型コロナの陽性者が出た為
東京凱旋以外が中止となりました。
どちらも中止になった該当日のチケットを持っていた自分としては
これに関して色々思うことはありましたが、それはここでは置いておいて。
歌合からほぼ一年、最後まで滞ることなく上演することができなかった。
2回目の緊急事態宣言発出もあり、ファンサイドとしても
一体どうなることかと思って見ていた公演だったと思います。
ずっと「恙無く最後まで上演できますように」と祈ってきましたが
聞き届けられず、こちらとしても苦しい思いで
いざ劇場へ行こうとしてもおそらく誰もが公式Twitterを何度も確認し
本当に今日公演があるのかとはらはらしながら足を運んだと思います。
ファンがそんな状態なのですから、キャスト、スタッフ、関係者さんの
心情は如何許か。
”一切のセーブをせず毎公演ぶっ壊れる覚悟で臨んで”いるというのが
客席から見ても痛いほど伝わる、気迫の迸るステージでした。
だからこそ、今度こそ、無事千穐楽を迎えさせてあげたいと
本当に願っていました。
それが無事叶って、心から嬉しいです。
コロナという穢れを持ち込まず、ケチのつかない状態できちんと終演できたこと。
毎日言祝いできたこの2週間強、本当にお祝いムードで終えられたこと
本当に良かったと思うし、心から思っています。
大千穐楽おめでとうございます。
ネタバレありの感想
コロナ対策の話
みなさんご存知の通り、コロナ対策はもう政府が言っていることからして
滅茶苦茶で明確な基準がなく、知識の有無でもかなり左右されている状態で。
そんな中で数多い人を集めてなんぼの業界は苦戦と決断を強いられています。
やるなら、ベーシックインカムを導入してエッセンシャルワーカー以外
全員あますところなく外出禁止にして、短期決戦すべきだったところ
1回めの緊急事態宣言もあの通りあやふやで今に至る訳で、
政府がまともな対応をしてくれない以上、他の地域の方からはもはや
死の都に思われているような東京でも、ある程度対策しつつも
普通に経済活動もしていかないといけない。
本当は無理に20時までに芝居を終わらせたところで
マウスシールドを演者につけさせたところで
どれほどの意味があるのか 飛沫は飛ぶのだから無意味では
という話なのだけれど、それでも少しでも可能性を下げる為に
多大な労力が払われたろうことは想像に難くない。
単純にマチソワの開始時間が変わるとリズムも変わるからしんどいし
休憩や準備時間も変わったのではと思いますし。
今までならアンサンブルさんや人間キャストがいて、
ステッキやフラッグなどの小道具はその人が渡してくれたり
持っていってくれたりしていたものが
演者さんが自分で取りに行ったり一度はけて置いてきたり
床に置いたものを黒子さんが持っていたりという方法が取られていました。
衣装換えも1種類だけ。戦闘服と礼服。
これもコロナ対策の一貫だったろうと推察します。
自分はソースを知らないのですが、Twitterで見かけたところによると
公演期間中キャストさんはホテルに缶詰でご飯はお弁当支給だったそうで。
自宅にも帰れず劇場とホテルの往復、大変だったでしょうね。
でもそれだけ、対策を講じてきっちり最後まで届けようという
みなさんの気合だったんでしょう。
でも公式さんはどうして徹底してそういうの広報しないんでしょうね。
もうここまできたらわざと言わないんでしょうけど、
今日PCR検査して全員陰性でしたとか
キャストは自主隔離してもらってますとか、
自分はちゃんと報じていいと思うのですが。
コロナ対策ちゃんとしてますよってのは観客サイドの安心にも繋がることなので。
正礼装の話
2部の衣装だった礼服は、テールコート(燕尾服)でした。
これ、日本人にはいまいち馴染みがないせいか、
「結婚式」「推しと結婚」とか「タキシード!」みたいな感想を多く見かけた気がしますが、礼装を着るのは結婚式だけではありませんし
タキシードは準礼装で、テールコートは正礼装な訳なんですよ。
自分的にはここ、重要。
礼服には正礼装、準礼装、略礼装があって、正礼装が一番格式が高い。
細かいことを言うと夜間の礼服なのでマチネにはそぐわないし
ホワイトタイでもなかったしベストも着ていなかった。
あと、カマーバンドはポケット代わりになるので襞が上になるように
着けるのが正しいんだけどそうでもなかったし
というかそもそも形が違ったし、とかはある訳ですが
飽く迄燕尾服モチーフの衣装だと思うので良しとして。
しかもこのテールコート、一つ紋(背中の中心に入っている紋)が入っているのです。
和装で正礼装は、黒羽二重の紋付袴。
五つ紋が最も格が高いので着物としては一つ紋だとやや格は落ちますが
洋装のテールコートに紋を入れることで、和洋背中の正礼装にしたのだと
自分は理解しました。
この礼装、冠婚葬祭だけでなく、格式の高い晩餐会や舞踏会などのパーティ、
オーケストラの指揮者・演奏者や社交ダンスなどでも用いられる服で。
つまりやっぱり、音曲祭は紛れもなく『ガラ(祝祭)』『コンサート』で
刀剣男士たちはコンサートの”演奏者”であり
正式な祝賀会だったんだなと。
紋付き燕尾服、最早発明級だと思いましたね…。
正装の刀剣男士が並ぶ2部冒頭は、ライティングの相俟って
本当に荘厳でした。
初日配信で見て、そんな正式な場に赴くことになるのか、と思い
悩んだ結果、現場my初日である17日ソワレには
小紋に袴ででかけました。
赤:道行、マフラー、帯、バッグ
黒:ストール、紅白の十字絣の小紋、袴、帽子、手袋、ブーツ
で赤黒縛りでコーディネートしていきました。
自分なりの推し正装。
明るい未来
初期刀のMCで
清光「今は大変な時代だけどこれから明るい未来が待ってるってことをオレたち知ってるから」
陸奥守「主が頑張っちょったの、よーく見ちょったぜよ」
蜂須賀「そしてまた明日からも頑張る為に今日の一時おれたちの歌や踊りをみて少しでも元気になってもらえたらと思う」
清光「オレたちみーんな主のこと応援してるから」
陸奥守「最後まで盛りだくさんやき目一杯」
3振「楽しんどおせ」
この全ての言葉がありがたかった。
それと、清光の明るい未来の話って幕末の大千穐楽での挨拶で
「この時代が大変な時代だってことは、オレたちは知ってた。
で、この先の未来、この先の歴史も、勿論オレたちは知ってる。
主と、もっとたっっくさん笑い会える日が来るってことをオレたちは知ってる」
って言っていたことが始まりじゃないですか。
これまでも、「お手入れがあるから」とか「誉ぽん」とか
キャストさんのアドリブが定番になることはあったけれど
このコロナ禍で一生懸命流司くんが”未来から来たオレたち刀剣男士”目線で
考えてくれた楽での挨拶がこうして公式に台本に取り入れられたこと
すごいなって思ったんです。
如何にキャストさんがその役のことを真剣に考えてくれているのか。
考えてくれているからこそ出てきた言葉は、もう本当に
本物の『刀剣男士』から出てきた言葉で。
今大変な中に未来から来て彼らが主たちに少しでも元気になって欲しいと
届けに来てくれた特別な時間。
本当はそれをすることで、彼ら自身もリスクに晒されるのに。
特に千穐楽では跪坐も入れてくれて、感動しました。
歴史を作っていく
壽版の刀剣乱舞の、アレンジも歌詞もとても素敵で。
特に初期刀3振が「この物語(れきし)我らとともに」と歌うのが。
ビデオレターで国広は刀の時代は遠いものになったと言っていたけれど
確かに刀が武器として使われた時代は遠いものになってしまったとは言え、
刀の時代は終わってないんじゃないかと思ったんです。
形が変わっただけで、今でもずっと続いてる。
彼らがこうして共に物語を紡いでくれたお蔭で、
刀の時代はこの先も続いていくんじゃないだろうかと。
5年間の重み
ミュージカル『刀剣乱舞』 トライアル公演の頃と比べると
全体的に歌唱力や演技力、全てが上がっているのが見て取れて
それだけですごいなと思って泣いてしまいます。
流司くんも最初の単騎はしんどそうにも見えたのが
今となっては呼吸が乱れていないし、じっと立っていても微動だにせず。
刀剣男士だから無限の体力がある、なんて言ってもそんなの設定なのに
本当にそれを体現しようとするところがすごいです。
歌って踊って会場にファンサしてカメラにファンサして
本当にマルチタスクなお仕事です。
キャストさんたち本当に尊敬します。
楽の挨拶で小狐丸が
「私達の本丸はこんなに大きくなりました」って言ってくれたるけど、
それはトライアルメンバーのこぎちゃんたちが頑張ってくれたからこそだよ。
こちらこそ、本当にありがとう、と思います。
時系列の感想メモ
DMM ミュージカル『刀剣乱舞』トライアル公演 千秋楽公演