先日、
「機械が進化してきて、人間が不要になってくる。
しかしそれでも人間が必要なのは、人間は曖昧な指示でも動けるからだ」
と仰る方がいまして。

まぁそれはそうなんですけども
私が気になったのはその後の言い草。
「最近の新人は曖昧な指示で動けず、具体的な指示を求めてくる者が増えて
人間の方が機械に近づいてきてしまった」
と。

たとえば、「この辺掃除しておいて」という指示に
機械と新人は戸惑うが、この人的に"使える"人間は自分で判断して掃除を始める、と。

私は日頃人に指示を出す時、具体的にするよう心がけています。
なんなら、理由も含めて伝えるようにしています。
たとえば、
「ここからこのあたりを掃除しておいてください。
掃除用具はここにあるものが使えます。
時間は30分程度で出来る範囲で構いません。
30分後に会議があるので、それに出席していただきたいのと、
期末に大掃除がどうせありますのでざっとで構いません」
みたいな感じ。

何故かと言うと、人間は曖昧な指示でも動ける=融通が利く ものですが
更に応用が出来るというのも機械に優る長所だと思うからです。

とは言え、機械も曖昧な指示で動けたり、応用が出来たりというのはあるのですが
話が長くなるのでここでは置いておきます。

具体的な指示があったら、
「じゃあ掃除用具に掃除機と箒の他雑巾もあったし洗剤もあったから
床はカーペットなので掃除機をかけて、テーブルを雑巾掛けしよう。
30分しかないから雑巾を洗う時間も含めてそれくらいで十分だろう。」
と効率的に作業を済ませるための計画が立てられますし、
次に掃除するようにと指示があったときに
掃除用具の置き場がわかっているし箒もあるから板の間は箒でやろう
という選択肢が増えることになります。

具体的な指示が無くとも取り敢えず掃除はしますが
目の前にあるハンディ掃除機でなんとかしようとするなど
効率が悪く、ぱっと見やっているようにはいくらでも振る舞えますが
条件や自分の持てる力を最大限に活かした結果とは程遠いものになります。
また、指示を出してきた人の『この辺』と自分が認識する『この辺』の
認識のすり合わせが出来ていなければ結果が一致せず
不当に指示者から「こいつは仕事が出来ない・仕事が出来る」などの評価を
されてしまうことにも繋がります。

本格的に掃除を始めたら30分後に会議に呼び出されて
掃除が中途半端になったり、それを片付ける為に無駄な残業をしたり
というケースも出てくるでしょう。
取り敢えず、なんとなく、ティッシュでその辺を拭いたりして
ぼーっと時間を潰すだけ、ということもあるでしょう。

具体的な指示が無いと仕事が『出来ない』のではなくて
『効率が悪い仕事しか』出来ない のです。

一見、「この辺掃除しておいて」という指示だけで済む方が
楽に見えるかもしれません。
でも、初回にきっちり教えておけば、今後こちらが指示を出さなくとも
手が空いたときに勝手に掃除をしてくれるようにもなる訳です。
「玄関の掃除をして」と言うだけで、箒とちりとりは用具入れにあったな
と自分で判断し全てやってくれるようになります。

これが新人教育です。
急がば回れではないですが、面倒でもきちんと最初に教えておくことが
お互いの為です。

「どこまで掃除すれば良いですか」
「洗剤はありますか」
と訊いてくる、意欲のある新人を、
「いちいち指示を出さないと動けないのか」と怒鳴りつける駄目な上司や先輩がいるから
新人が育っていかないのですがね。

win-winになるよう物事を考えて動けば良いのになと思います。

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say

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