詩歌川百景 (1) 感想

田舎の小さな人間関係の諸々の描き方が
相変わらず非常に絶妙だ。

田舎に連れてきておいて進学しないといったら
怒るし父親のせいにする母親、嫌だなぁ。
自分ならこの母親から離れる為に進学したい。

離れて暮らしていた弟と『共有するものがのう何もない』
という表現が秀逸だと思う。
弟の筈だけれど、目の前にいるのは知らない不良である。
親についていかなければ、荒むこともなかっただろうか。
一緒に暮らしてもいないし縁を切ったも同然の
弟の所業など、自分も遠い噂で聞くレベルなのに
何故報告しなければならないのだろう。
妙ちゃんが会話を録音までして「パワハラだ」と言うのが恰好良かった。
自分でも録音している和樹も偉い。

田舎の大人の良くも悪くも無責任な感じがリアルだが、
田舎か都会かに関わらず
『どんな場所でも人の住むところには必ず悪意と揉め事がある』。
そう言い切ってしまうのも寂しい気もするが。

倉さんが合格祈願と聞いて「どれ」と一緒に祈願してくれるのがさりげなくて素敵だ。
寒いから逆に湯温を下げるというの、なるほどと思った。

自分も雪国育ちなので、冬がモノトーンではないことに共感する。美しい描写だった。