共犯の畔 感想

著者 : 真保裕一
朝日新聞出版
発売日 : 2024-09-06
報道の模様から始まる導入。
起きている事件が読者に伝えられ、
次に感情移入しやすそうな気の毒な大学生である
勝也の情報が齎される。
そこから一転して、真鍋の目から見た勝也が
先ほど受け取ったイメージとは違う感じで描き出され
取材らしきものにに答えるインタビューが挟まれ
というのが流石の始まり方だと思う。
物語が収束していき、思いもかけない事実が判明するのも
相変わらずの展開。

地獄の川に落ちた犬を叩くという表現が
ちょっと引っかかった。
中国で言われる水に落ちた犬を打つという言葉を連想し、
日本人ではないという伏線なのかと勘繰ったが
関係なかったようだ。

一見微笑ましい会合かと思った男女の約束が
まさかこんなにも重いものだとは思わなかった。
勝也も年を取ってからこのような関わりになるとは。
しかし犯罪者として裁かれることも覚悟しての行動が凄い。
実際こういうことが起きたとして、執行猶予がつくのか、
議員は無罪放免になってしまうのか気になるところだ。

最後の最後にタイトルの意味が明かされる訳だが、
なるほどそうくるかと唸ってしまう。
自分たちの得になることしか考えない人、
そもそも投票に行かない人、
我々みんなが共犯という罪の畔に立っている。

個人としては投票には必ず行っているし
政治に無関心ではないと思っているが、
それでも現状の酷い政治を変えられていないことは事実である。
投票では変えられず、こうした行動を起こしても無理だとしたなら
一体どうしたら良いのだろうか。