わかりやすく読みやすかった。

人間の行動は簡単には変わらない。
人には他人のことをよくわかっていて、簡単に狙った通りにコントロールできると考えてしまう癖がある
というのは納得。
解決の為問題報告をさせる場合、報告者に不利にならないようにというのは本当に必要だ。
また、その行動を行うインセンティブがあるかも重要だが
闇雲にインセンティブをつければ良いわけではなく
コブラの死骸に報奨金を出したら飼育して増やす人がいるというのが
性善説ではうまくいかないものだと思う。
これを防ぐ為に目的とする状況にできるだけ近い行動にインセンティブを与えるというのがなるほどと思った。

外発的動機づけでは報酬や罰がなくなれば行動が行われなくなるし、
同じ報酬ではモチベが長続きしない。
罰金を設定したら遅刻率が増加というのは、
払えば遅刻してもいいと思うだろうから分かるのだが
廃止しても減らないというのにはちょっと驚いた。

やるなと言われるとやりたくなるのも希少性バイアスの一種と言われると確かにそうだ。
言論の自由があるのも、取り締まるとトンデモ説が余計支持されるのは納得だった。

社会的ジレンマは結局正直者が馬鹿を見るのが辛いが
そうならないようなルール決めはなかなか難しい。
ルール決めに参加できない将来世代に負担を押し付けるというのは、会社や家庭など小さな単位でも頻繁に起きていると思う。

ルールはいつか必ず時代遅れになる。
時代遅れになったルールは悪影響を与える。
何故かこれに気づかず、古いルールに固執するケースが多い。
ルールを変えても目的としていた状態が達成できることを証明すれば良いと言いつつも
それでも固執する人が割に多い印象だ。

過剰なルールが存在することについても、
ルール遵守のコストが軽視されているから。
金銭以外のことをコストと考えない人も意外に多い。

不正をやりにくくするのではなく見つからない確率を下げる為の
Amazonのダミー荷物のルールはちょっと面白い。
正直なドライバーに大きな負担にならずに
ランダムに不正が明らかになるというのが良い。

消防活動に使用する給水栓のホース接続金具を標準化するというのも、ちょっと考えたら当たり前のようでいて
広い視点に立っていなければ難しいし、すでに整備された後切り替えるのも難しい。

制約がある程度ないと良いアイディアが思いつかない。
自由な方が良いかと言えばそうではないのがこれもまた難しい。
課題には制約があるが取り組み方は自由なのが良い。

うまくいかない理由として、
対象が想像通りに動くと勘違いしてしまうのは本当によくありそうだ。
設定したあともデータを取りフィードバックが必要になる。
データを正しく解釈することが正しいルール決めに役に立つ。