映画の評判が良いと聞いて、映画は見ていないが読んでみた。
誰もが誰かの怪物になりうる恐ろしさは面白いと思う。
一章で母親、二章で先生視点が語られ、三章で遂に湊視点かと思ったら色んな視点からの雑多な答え合わせネタばらしの構成でちょっとがっかりした。
特に校長は訳ありなキャラ風でさもそれっぽい言動を最後に取るがわざとらしいし何も共感できなかった。



小学五年生なら1人で寝ても普通ではないか。
入るなと言われているのに寝ている時に忍び込んでいるのに引いてしまった。
心配だし自分しかいなくて不安なのも分かるが、なにかをしている最中の息子が体を強張らせているのに
構わず抱きしめるのもどうだろう。
そんなに心配なのに車で走行中のロックをせずドアが開けられるのも違和感がある。

校長先生は孫が亡くなったのは気の毒だが、それで心ここにあらずになるのなら休んだほうが良い。
調査も期待できないだろうから、録音するなり誰かについてきてもらうなりした方が良かったのだろう。
暴力行為があった訳だしそれこそ警察を呼んでも良かったのかもしれない。
この時点で保利先生の印象は最悪だが、彼の過保護という指摘は自分の印象と重なる。
頭にきたからといってタメ口で感情的に話すのも余計舐められると思う。
孫が死んで辛いお前と同じ様に今の自分は辛いと校長に言う早織が恐ろしく感じた。

また、小学校は生徒ではなく児童なのに生徒という描写は引っかかった。

保利視点は只管不条理で悲しく気持ち悪さがつきまとう。
しかし生き物を下水に流す発想が出ることがよくわからない。
子供の頭に不用意に触れるのも嫌だし趣味もセンスが良いとは言えないものの、取り立てて悪人ではない。
生徒に陥れられ彼女にも捨てられ週刊誌に書かれ、あまりにも気の毒だ。

自分の恋心がバレたくないのは分かるが、その為に先生を陥れる必要はあっただろうか。
しかもそれを言ったのは湊ではなく依里だ。
友達が虐待されているようだと、母親か先生に相談するのでは駄目だったのか。
最初に学校側が変な対応をせず、先生と早織が落ち着いて話し合える状況が作れていればあるいはこうはならなかったのかもしれない。

オチは個人的な好みで言うとイマイチだったし、
現実問題仮に早織の誤解が解けたとしても保利先生の
処分が撤回されることもなさそうだし
何も救われないと思った。