原作未読。
前向きになれる映画とのことだったので見てみた。
新垣結衣さんがこうした笑顔がほぼ無い役を演じられるのは
とても新鮮だった。

原作がそうなのか、映画がそうなのかわからないが
流行りの、泣きたくて見に行くタイプの映画だと思う。
ストーリーは大変シンプルで、産休に入る先生の代わりにやってきた先生と生徒が、交流を経て成長するというもの。
予想できない展開が全く無く、全てが予定調和で収まっていく。
感動のラストまでには、主要キャラクターを邪魔する人間や事態が現れ、足を引っ張られ
それをなんとか解決して進んでいくという繰り返しで
自分としては見ていて相当ストレスが溜まった。
特に、映画で追加されたという柏木ユリの悲しい過去の設定は不要だったと思う。
主人公は生徒たちであって欲しかったし、映画にするのだからと加えたのだろうが無駄に重い設定だった。

過去を抱えているとは言え柏木の態度は流石に臨時雇とは言え態度が悪すぎるし、
元々友達とは言え勤務時間中で生徒の前でもハルコ、ユリと名前で呼び合う先生たちに違和感があった。
田舎だとそんなものなのだろうか。

桑原サトルのキャラクターはとても良かった。
引っ込み思案だがとても優しく、自閉症の兄を愛している様子が特に良い。
だが両親には苛々させられた。
何故弟が兄の面倒を見るのが当然になっているのか。
弟が自分のやりたいことを犠牲にしてまでしなければならないのか。
両親が代わらず弟にさせる必要性も見えてこなかった。
後々母が「迎えは自分が行く」と言い出すものの、何故最初に言い出したときに息子の話をきちんと聞き
その時点で提案してくれなかったのか。

サトルが親にも友達にも言えず、対処もせぬまま
兄を迎えに行かず、部活へ行ってしまうのは
気持ちはわかるが流石にまずい。
この辺りもわかりやすい物語上のトラブルだった。

最初に合唱部に男子を入れたくないと女子たちが言った時随分酷い言い方をすると思ったが
大会前の貴重な時間に先生目当てで入った上
ろくに練習もしないのは確かに酷すぎて、男子なんか入れたくないと思う気持ちの方に共感した。

他にも、先生が恋人を亡くした過去を生徒に暴露する先生、
同級生がいる前で息子の頭を撫でる母親
柏木目当てなのがもろばれで、ガサツ(なのに純粋でいいやつみたいな描写も含め)な塚本先生
ピアノは弾かないという音楽教師という条件もどうかと思うが、それを飲んでおいて弾かせようとする先生たち
などなど、細々引っかかることが多い。

動画がネットに上がるような時代設定なのだから
ちょっと柏木ユリの名前でググれば事実は出てくるのではないのだろうか。

松山先生の容態が急変して、というので帝王切開かと思ったが
急変した割には自然分娩で産めたようで。
生んだ後処置に入るだろうに、産声が聞こえるというのは相当ジャストタイミングで生まれたことになるが
それも正直違和感が残った。

ラストシーンではピアノを使うのかと思ったが
アカペラなら外で歌っても良いのではと感じた。
実際は、音が響くし外部の人もたくさんいるホールで
突然歌い出すのはやるのはかなり迷惑だと思う。
他の学校の子たちもみんなが歌い出すのは
なんでやねんと思わなくもないが、課題曲だからこその展開であり
歌声は綺麗でとても良かった。

生徒たちの演者さんがみなさんとても良かった。