設定が面白く、絵も綺麗で大変読みやすい。
歴史をうまく絡めてあるし、大人が子供を敬い
協力を頼んでくる構図が好きだ。

道真の注意深く博識なのに面倒くさがりなキャラが良い。
「最後には正しい者が勝つと本気で思っているんじゃないだろうな?」
と”大人”である業平が問うシーンが良いし、
「私はまだ何も知らぬ」と道真が思うところも印象的。

若い正義感から怒り、知識をもって妖しを作り出して
懲らしめる手腕が鮮やかだ。

玉虫姫のエピソードはとても悲しいが、
業平が「一度騙したのなら最後まで騙しきるのがいい女というものだ」と手を貸し、
久通の件も合わせて上手く丸く収めるところがすごい。
主上も優しいお方なところが素敵だ。
業平が白梅を口説いているところも笑ってしまうが、文を書いていたのは彼女なのだから、業平にとっての玉虫姫が白梅であることは確かにその通りである。
道真にとっても漢学のわかる女房はありがたいだろうし、良い結末。