再会してそういう話にならなかったのだから
会って話そうというのは無い。気持ち悪い。
ただ、振り返ってまだ見ていたら珈琲いっぱいくらい
という気持ちになるのは理解できる。
と言いつつ、自分は誰に対しても一定時間見送るから
それで振り返って戻ってこられたらちょっと怖い。
美和子の懐かしさに負けたという感覚は分かるが、
夜中に元彼を家に招き入れるよりは円盤を貸して
返してもらいがてらお茶をして感想を聞くくらいが良かったのでは。

「魔が差した」の魔の主成分はなつかしさ は面白い言い回しだと思う。
いろんな上手くかなかったことなんかも全部ひとつの物語なののかな、と思うこと、人生の中でたまにはあるものだ。
所謂運命かな、というやつだ。

昔の恋人と、というのはケース・バイ・ケースだし
別れ方にもよると思うが、
当時の未熟な自分と対峙するのが嫌というのはなるほどと思う。
こうきちゃんの『微妙な時期のカップルのまわりを他の女がウロウロするのは御法度だ』のモノローグに
めいが書かれたコマが凄い構成。

めいの「お世話になってます」はマウントでしかない。
ちゃんと言わない奥さんも良くないけれど、
元気は本当に理解してなさすぎる。
めいの手作りクッキーを「喜ぶと思う」って普通にもらって普通に渡してしまうのがあまりにデリカシーがなさ過ぎる。
あれだけはっきり言われたのは嫁を選ぶかめいを選ぶかという局面だったのに、
内緒にしておけば良いと思っている時点であり得ない。

水筒を忘れた話、高尾山と聞く度思い出すのよくわかる。
脳のリソースを取られて高尾山=忘れ物になるくらいなら取りに行った方が確かに良い。
水筒は汚くて結局捨てちゃうのも、なんだそれと思いつつ分かる気もする。

プリンの蓋を残すかもと思って開けきらない、
結局全部食べちゃう癖に、先のことを決めるのが苦手
という美和ちゃんの台詞、いろんな後悔も入っているのだろう。
5年付き合って彼氏と分かれて三ヶ月後に会った元彼なら、
確かに絆される気持ちもわからなくもない。

美和子をテキトーに扱うワケないなら、言葉に出して欲しかった。
向井くんは大切な事を口にしない。
何故自分達が別れたか、前の彼とは何故別れたのかで話はだいぶ変わってくると思う。