長かったちはやたちの物語も遂に完結。
個人的には往時の感情移入や盛り上がりには欠けつつあった中盤以降だったが
落とし所としてはこれがベターではないかと思う。
あまり良い言い方ではないが敢えて言うなら
しょせん少女漫画なのだ。

正直に言えば流石に両方運命戦からの両方勝利は
都合が良すぎる展開に思えてしまったが
しのぶちゃんにとっては一緒に並んで戦う仲間ができたとも思う。

太一の「今さら?」という台詞は本当にそれ、ではあったが
今さらでも選ばれ、
それを太一本人が報われた、嬉しいことと思えたなら
良かった。
自分は器用貧乏なので、一番太一に共感してきたので。
ただ恋愛模様よりもっと大事なことがあったのでは、
と思う人が多いのも理解はできるし、
太一ファンしかこの結論に納得いかない!という意見には
太一ファンだけど納得いきませんでした、と思っている。

千早がどっちかを選んで付き合うというのは
正直つまらない展開で、裏切ってほしいとは思っていた。
自分の中でのちはやふるのピークは、太一が告白する前の悩みながらも全員でチームとしてかるたに向かっていたところまでだった。

太一が新を倒すというのも、前にそんな台詞が出た時の熱さと比べて薄いし
実際問題かるたの取り方を変えて自分のかるたを見つけつつあるとは言え
かるたを取る時間はなくなるだろうという話だった太一、
本当にそこまでかるたに今後向き合えるものだろうか。

すみれちゃんはバレンタインの時である程度太一への恋心は吹っ切ったと思っていたので
そんなにショックなの?という気持ちになってしまった。
水沢かるた部が頑張っているのは分かるものの
どうしてもちはやたちがいた代からしたら華々しさもなく
期待して入部した新入生から厳しい目で見られても仕方ないとも思う。

あとは他のキャラの描写が薄く感じたのも残念だった。
せめて卒業前の新はもう少し描いてあげて欲しかった。
新の気持ちにちはやはちゃんと答えを出して伝えなかったように見えるがそれはどうなのだろう……。
新もずいぶんあっさり受け入れるというか
太一に妬いていた描写もあったのに随分『大人』になったなと思う。

肝心の千早もあれほどの情熱をかるたに注いでいたのに、
『普通の人』になってしまったなと感じた。
どうせならしのぶちゃんと一緒にかるたのプロになろうとかそういう展開の方がまだ納得ができたかもしれない。
普通の人になってしまった千早は、かつての彼女のような情熱でクイーン位を目指す人たちにとってどのように映るのだろう。


人生を賭けてしてきたことを抱えつつ
複数の男子から好意を持たれ結論を出す、というのだと
ハチミツとクローバーのはぐちゃんもそうだったと思うが
彼女が恋愛に答えを出したときも
謂わば振った相手に親切にしたときも
こんな気持ちにはならなかった。
全員のキャラの描写がしっかりしていたし、
はぐちゃんの結論が人生を賭けている絵を大事にしたものだった、
どこまでも恋愛に浮かれる女子大生ではなかった重さが
納得がいったからだと思う。

一時はあんなに好きだった作品の最終巻なのに
とても残念だ。