『本書は単に「終戦の日」の思い出ばなしを羅列したものではない。いま まで埋もれていた資料をもとに、日本人の精神構造を主題にして構成した、二十四幕の 長篇ドラマ”なのである。』
という冒頭の文章が正にこの本はなにかということを
端的に表現してくれている。

『ここに登場する人物は、それぞれ自分のもっている”日本的忠誠心”にしたがって行動し、ぶつかりあっている。だが、ぜんたいをマクロ的に観察し、冷静な判断をくだす という大政治家、大監督がいなかった。そのため、同様の事態におちいった他の国々の 場合にはみられない独自の喜劇と悲劇が、出演者の意思にかかわりなく、いたるところ でおこった。それだけに、このドラマはスリルとサスペンスにみちた場面を展開した。
「もはや戦後ではない」といわれるが、この敗戦という大激震のの ち、現在もなお目にみえないところで余震”がつづいているのである。』
読んでいて終始苦しい本だった。
誰が間違っているという訳でもなく、
真剣に考えて動いているのに悲劇に進んでしまう。
こんな長い一日があったことを、日本人の多くが知らないだろう。
全員が知るべきであると思う。

内容は苦しいものだが、文章はとても読みやすく
わかりやすくて非常に良い。