薫子さんの、初めて爽太くんに会った時の印象は
「別に」から始まる回想がとてもリアル。
シェフの息子さんとして出会った訳だし、無理もない。
付き合っている人が別にいて、運命の出会いなんて
なる訳もない。

六道さんが世界を常に広げていけとアドバイスしてくれるのが
良い上司であり人生の先輩だ。
それに従う関谷くんも素直だし、六道さんのことをリスペクトしているのも良い。
『年だけ取ったって成長はしない』というのは
本当にそのとおりだと思う。

関谷さんは喋らなすぎだけれど薫子さんは喋りすぎ。
「気遣うわー」って思っちゃうところが
ちょっと上から目線で良くないなと思ってしまう。
それに流石に爽太のプライベートをぺらぺら喋るのは無いだろう。仮にも自分の上司であり店のオーナーシェフなのに。
関谷くんは自分ならぐだぐだ引きずるのが嫌だし
六道さんは粋な振り方してくれるだろうし
と言っているだけで、しかも規模も違うし一緒に考えんなよって話かも
とフォローもしてくれているのに
薫子がネガティブなところが引っかかる。
そういう素直になれないところが、薫子らしいところでもあるのかもしれないが。

関谷くんは感情が表に出ないだけで
面白かったとか連絡先聞きそびれたとかちゃんと考えているところが良いし
六道さんに茶化されたとき
『「そんな気起きるわけない」ってなんすかそれ』
『この先そんな気が起きなかったら
それはあの人に対して俺になんにもできることが
なかったってだけのことっすよ』
と答える誠実さが好き。

サエコが愚痴を言おうとしても聞いてくれない友達が辛い。
友達に悪気はないのは分かるが、頭から今が幸せとか
暇だと決めつけて自分の考えを押し付けているのが辛い。
母親もまともに聞いてくれない。
押し付けてくる旦那に疲れて息抜きしたいのに
これはしんどいだろう。
専業主婦を仕事だと思って嫌なことも全うしよう
と切り替えた矢先に勝手なことをするなと怒鳴られて
頭働かないヤツ呼ばわりされるのもきつい。
それが『普通の主婦の正しい姿』と言われても
だったら専業主婦はどこで息抜きをして自分に戻れば良いのだろう。

必死で足掻いているつもりなのに
高いところにいけてない感じでどんどん水位が上がってくる、その感じはとてもよく分かる。
苦しいのも楽しまなきゃやってけないというのは真理だが
難しいとも思う。

オリヴィエが自分で両思いじゃないと言いながら
まつりと付き合っている姿も苦しい恋愛だと思う。
オリヴィエが言うとおり、なんだかんだで爽太とえれなが
一番良い関係を築けているように見えるのに
その二人は恋人という関係ではない。
うまくいっているように見えるものも本当に軋んでいること、現実世界ではそんなことばかりなのだろう。