ネタバレあり

佐和ちゃんが愛ちゃんに、喉が痛くて声がでないけれど
自分からは断れなかった、ありがとうと言ってくれるのも素敵だし、
安藤先生が「決めるのは俺、全責任も俺」ときっちり言ってくれるところが良かった。

さらさは演じるかなと思っていたし、翔ちゃんは動転していたから仕方ないとして
学園サイドは出番を終えてから伝える配慮があっても良かった気がする。
そこまで緊急事態ではないという話だったわけだし。
先輩が嫌味風に言っているけれど、今はまだ本科生の”おまけ”で、
今は駆けつけても良いのだし、それほどおじいちゃんが大好きなのだから
さらさの選択が間違っているわけではない。

大先生がさらさに
「選択によって結果だけが残る。死に目に会えなかった後悔か
舞台に立たなかった後悔か
どちらを選んでも後悔はするだろうね。
知名度が上がれば上がるほどどんどん自分が
自身と家族だけのものではなくなって、人生の幕引きすら見世物になる」
と言う言葉が沁みた。
特に、幕引きすら見世物にという言葉は厳しかった。が、確かにそうなってしまう。
もし普通の生活がしたいのなら早い方がいいと、思わず言いそうになったところも
なんだか切なかった。

さらさが一方的に悔しい思いをした訳ではなくて、
暁也にとってもさらさは手の届かない頭上の星で、
さらさが稽古をやめてしまったから永遠に越すことができないという気持ちを吐露したのが良かった。

さらさに知らせないで欲しかっただろうおじいちゃんが、さらさに掛ける言葉も素敵だった。
「どうしたって俺はお前より早く死ぬよ
自分の人生それなりに楽しく生きた、後悔は無い
だがお前がやりたいことをできなくなるのが一番悲しい
俺がいなくなった先のお前が泣いているか笑っているかそれだけが気がかりだ
舞台に立ってたくさんの人に愛されなさい
お客さんを愛し愛される努力をしなさい
そしたら他のことは何ひとつ気にせんでいい」
恰好良いし、本当にさらさはおじいちゃんに愛されてもいる。
たくさんの人に愛されなさい、というおじいちゃんの気持ちが尊いと思った。

愛ちゃんはここぞという台詞で噛んでしまって、エゴサしてそれが叩かれていることも知っていて
回りにいじられたときは普通に流していたのだろうけれど、
さらさを目の前にして「うまく出来なかったごめんなさい」
と涙ながらに謝るシーンが泣けてしまう。
叩かれなれていると言いつつも、自分の舞台度胸を信じて
さらさの為に完璧にやり遂げたいところだっただろう。
佐和ちゃんが声が出ていたとしても、観客のプログラムと違うという期待を裏切る形で出すなら
元JPXという肩書は役立つだろうし、安藤先生が愛ちゃんを出すと決めるのも分かる。

泣いてしまう愛ちゃんを見て、笑い話にしていたみんなが謝るのも可愛いし、
慰めてくれるのもとても良かった。
さらさがおじいちゃんを選んだことと同じで、愛ちゃんにしても今はまだ失敗できる状況なのだ。
みんなが可愛らしくて、全員応援したくなる。