ネタバレあり

泰麒を不憫に思いながら読み進める中、
麒麟の慈悲に関する描写がぞくっとした。
泰麒にはきっと何か考えがあるのだろうと読み進めているが
本当にそうなのか、と思わされる瞬間だ。

驍宗と阿選が好敵手であったという描写には泣けた。
どうしてその良き関係のままいられなかったのか。戻れることはないのだろうか。
これを読んでしまうと、本当にただ嫉妬や欲から阿選が謀反を起こしたとは
思いにくいのだが、少なくとも泰麒に酷い行いをし、
政治をせず民を放置して苦しめていることは事実である。

白圭宮の中にいる官はまるで幽霊のようであったり、
鳩を不吉とする描写だったりと、ざらついた不穏さも散りばめられている。

李斎はかなり好きで、一番共感するキャラクターかもしれない。
当て所もない旅、捜索の果てに辿り着いた信じがたい証言。
それでも、驍宗様は無事であると信じたい。