まるでファンタジーのように見えるが、実在した医師、ヨーハン・ヴァイヤーの物語である。

「魔女」というものに対して精神医学の面から切り込んでいこうとする姿が
非常に崇高で尊い。
魔女狩りが横行する時代、それらに反論を唱えることがどれほど恐ろしいことか。
魔女本人だけでなくそれを恐れる周りの人たちみなが、ひとつの巨大な悪夢になり得る。
そしてこの集団心理は当時だけに限った問題ではない。
『敵』になるのは味方であるべき同業者であることもある。

丁寧に時代考証をした上で、「魔法」について美しく恐ろしく描かれてもいて
大変読み応えがある作品。