英雄は死の恐怖を一度しか感じないと言います。
それは実際に死ぬ時のただ一度。
しかし臆病者は、常日頃から何度も、死んだらどうしよう、痛かったらどうしようと
不安に駆られて何度も何度も想像し、
死の恐怖を味わうのです。

臆病なわたくしは、何度も何度も悪いことを
ネガティヴエンジン全開で夢想しては
尻尾を股の間に挟んでぶるぶる震えてしまいます。

ご存知の方もいらっしゃるとは思いますが
幼少時に麻酔があまり効いていないのに
しかも誤診で何の問題もない永久歯を抜歯されてしまったことがトラウマになりまして
歯医者さんなんかそれはもう鬼の住処で生きたままとって喰われると信じて止まなかったのですが
この度色々ありまして
二十歳頃から生え始めておりました親不知を
3本全部抜く事になりました。泣

下の歯の親不知は横向きに砲台よろしく生えていたもので
そんなときは歯茎を切るとか歯をスライスするとか
余計な情報ばかりが頭に残り
上の歯は上の歯で、抜くと脳味噌が漏れてくる
なんて話を聞いちゃったりなんかして
もう何度も何度もそれはもう嫌な想像ばかり考えて
いざ歯医者さんへ行く日には遺言でも書き遺しそうな勢いでしたけども
やっとこ全部抜いて治療が終わりました‼︎

あぁ怖かったよ…。

オカルトと思う向きには思われちゃうのでしょうが。
最初に左の奥歯を抜いた後はそりゃもう、痛くて痛くて
痛み止めの容量用法を守って正しく使うとさっぱり効かなくて
乱用しまくってたのですが
よくよくカレンダーを見ると上弦過ぎたあたりだったのですよ。

月の満ち欠けは地球や野生動物に影響を与えていて
それは人間も例外では無いと言います。
月が満ちる辺りは血が止まりにくいなんて話があるのですよ。
逆に月が欠けて行く頃は傷の治りが早いんだとか。

そんな訳で次は下弦過ぎた辺りに予約しまして
あんな痛いの後二回も経験するのは嫌だと思い
右の上下二本同時に抜いてもらいました。

そしたら全然痛くなくて、痛み止めは当日念の為飲んだきり。
血も前回に比べると早く止まって、あっさり事無きを得たのでした。

これから抜くよーとか1本抜いたよーとか言うと
大どんでん返しがくるんじゃないかと思い
誰にも歯医者さんに通いだしたことを言わずに来ましたが、
全て終わったので解禁してみました。いやだからなんだっていう。

因みに3本とも割ったり切ったりせず抜いて貰えました。
持って帰る?と言われ、血が怖いのに血塗れの歯を見せられて
がくぶるしながらお断りしましたが
今思えば今まで人生を共に歩んでくれた自分の一部に対して申し訳なかったかしら。
でも貰ってもなー。

これで、行きたくないのにせっせと予約を取り
行きたくないのに忙しい中予定をやり繰りして通院する
自分で自分にマゾなんだかサドなんだかよくわかんないことをし続けていた日々とも
お然らばです。ε-(o´ω`o)

先生には、痛くなくなったら来なくなる人が殆どなんだけど
sayさんは最後までちゃんと来て真面目だねーと言われました★

先生は、というかこの歯医者さんはみんな柔らかく丁寧に話そうとする余り
「あら。お痛み出ちゃった? ごめんね~」
ってまるで女の人みたいな言葉遣いでちょっぴり面白かったです。

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say

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