ふしぎの国のバード (1) (ビームC) 感想

タイトルは聞いたことがあったが初めて読んでみた。
イザベラ・バードの話だったか。
漫画としては面白いが、かなり脚色が強い印象がある。
バードが大変若々しく天真爛漫だが、実際既に46歳で
好奇心旺盛とは言え流石にもう少し落ち着いていたと思うし、
事前に日本に行こうと思って明治政府御雇外国人のマクヴェイン夫妻にも話を度々聞いていた筈なのに
随分日本のことを知らず行き当たりばったりに
旅をしているように見えてしまう。

幕末の日本に関係する著名な外国人で、パークスなど
一二を争う迷惑ぶりだったと思うのだが、
自分たちが勝手に銃口を突きつけて戸口をこじ開けて
蹂躙しておきながら
「文明が滅びてしまうからその前に記録を」
とバードの旅を後押しするなんてとんだ茶番だ。
どの口が言うのだとしか思えない。
実際日本をおとぎの国とか妖精の国と表現して、
「我々は踏み荒らしているのでは」、美しく調和の取れた生活が西洋化で失われるのではと危惧した人はいたが、それはオールコックやモースらである。

記録自体は功績と言って差し支えないし、当時の外国人にしては偏見も少なかったのだろうとは思うが、
日本人を醜いと思っていた人の主観が大いに入っている内容であることは事実であり
バード女史を全肯定する気持ちは自分には無いし、
このような女性だったとは考えていない。

弥平は今のところ一番登場人物の中で良い人で恰好良い。
宿が虫だらけなのはとてもキツイが、現代の日本が綺麗なだけで
海外旅行では水にあたったり虫に刺されたりはよくあることで
特別日本が不潔だという話ではない。
いくら報酬が払われるとは言え、女史の我儘に付き合わされて
伊藤も弥平たちも劣悪な宿に泊まらざるを得ない訳で
それは「慣れてください」としか言えないし
そうとしか言わないのが優しいくらいだ。

伊藤が鳥居の前で脱帽一礼を求めるのも微妙なところ。
そうしたルールは無かった筈だし、
西洋ルールが流れてきたからこそのマナーならば
女性は脱帽しなくて良いのではと思う。
しかし伊藤がはっきり「黒船のおかげでこの国の平和は瓦解した」と言ってくれてちょっとすっきりした。

しかし伊藤のキャラクターも史実として伝わるものからは大きくかけ離れている。
これを史実と思っての感想を見かけるにつけ、
漫画としては面白いがこれをきっかけに史実を調べてほしいし
そうでなくてもこれを史実とは思わないで欲しいなと思う。