明治座は前の会社が近くで散々横を通っていたけど
中に入ったのは初めて。
前の方の38番だったのでずっと左を向いていて首が痛くなったのと
中央奥で起きていることは割と幕と人の頭で何も見えず。
配信買うしかないかな…という感じ。
37番の連れは比較的見えていたみたい。身長差もあると思う。
できるだけネタバレを踏まないで観に行こうと思って
感想や取材記事は勿論誰が何役かもある程度内容が読めるから
見ないようにしてました。
その甲斐あって驚きはあった。
流司くんは抑えた口調もそうだけれどまず歩き方が気になって。
すとんすとんって歩いてるように感じた。
歩き方、見た目、ちょっとした仕草、
これがこの人の考えた道真なんだなと。
まぁやっぱり、原作が大事でちゃんと読み込んで表現するのは
この人がプロと言わず何をプロというのかってレベルだから
本当、流石でした。
高橋さんは良くも悪くも芸能人ってイメージだったけど、
記者発表からこっち推しに優しくしてくれる人に弱いオタクとしては
すっかり好きになってしまって、お芝居見て更に好きになりました。
花總さんは自分の思う昭姫はもっと蓮っ葉な印象があったから
上品過ぎない…?って思ってたけど、やっぱりそこはプロ
割と崩し目に演じておられてすごいなと。
キャスト発表時からイメージドンピシャと思ってた篠井さんは
もうほんとそのまんまでしたね。
あとは中村さんが思ってた以上に長谷雄ですごくうざ可愛かった。
回り舞台、セリ、吊りもの機構など、ある装置は尽く使っていく
演出も面白かった。
ここからネタバレありです。
ポストしたことの具体的なことなんだけれど、道真の父親が存在感なさ過ぎたのがまず気になる。
原作のように父と道真の対話があって、「来るな」という父の難しい立場があって、
それに対して「父上も鬼」と思い「阿呼が同じ思いをしないように」
という兄の言葉に俯いてしまう、あの一連の流れがあってこそなのに、
それ無しで「藤原に殺された」は道真の妄想とも取られかねないのでは。
逃げた先でハツの為に井戸を掘り当てようと自主的に自分の力を
自覚的に使う道真が、「何も出来ないことが憎い」と業平に吐露し
「どうすればいいのかわかっているのだろう」と諭される対話シーンが好きだったので
舞台ではなかったのは残念。
ここで「力を持たねば何もできぬ」からの塩焼きだからこそ
道真も参加する気になった訳で。
くらげに刺された時の貴族たちの反応、
もう一声ねちねちがあっても良かったと思う。
舞台のあの感じだと足りなくて、道真が怒り過ぎに見えてしまう。
常行は基経とも業平とも道真とも言葉を交わすキャラで
重要だと思うし、バランスと取るためにもメインめで出して欲しかったな。
業平が「正義が勝つとは思っていないよな」
常行が「相手が人間なら安全だと思ってないよな」
とそれぞれ諭すのが、汚い世界に生きている大人たち感があって
原作の好きなところなので。
タツの話があるから伴善男が好きになるし、
だから感情移入もするのに。
業平との会話でだけでも入れてほしかった。
それがあって業平が「友として力になりたい」と言うし、
「先に折れて見せるなんて私が拗ねてるだけみたい」と
道真が言うのが可愛かったのに、舞台の感じだと業平の洒落た感じと
道真の拗ねた感じがなかった。
史実では諸説ある善男を佐渡出身説にしたのが漫画応天の門な訳で、
だからこそ「泥を知らぬものに政ができるか」という台詞が響いてくるのになと。
高子様は正直出す必要がなかったと思う。
連れ出そうとしたのは彼女が11歳だった頃で全然印象が違うし
そこまでの諸々のエピソード無しで神泉苑のところだけ忠実にやられても
彼女の強さや頭の良さが伝わってこず、「晒し者」と厭世的な感じが強くなってしまう。
それを言うと白梅もあまり必要性がわからなかった。
てっきり彼女のエピソードを舞台でやってくれるものと思っていた。
あれは業平のプレイボーイぶりも道真の頭の良さも
白梅の人となりも描けるし良いエピソードだと思ったが。
活躍もあまり見られず残念。
豊城もいまいち、必要だったかなぁという印象になってしまった。
6巻までのエピソードを切り貼りして概ねカットしている訳で、
そこまでのエピソードで重要な人物だけで良かったと思う。
兄の話があって、父が「関わるな」と言っていたのに
「隠そうとしたとて才はいずれ世にでてしまうもの」と変わりつつの
中庸からの頼みに応える流れが良かったのに、
父との会話もなく業平の目の前で頼まれ、
そこまでは良いとしても怖気づいて一度帰ろうとしたのは許せない改変。
1人で悩みつつ決断し、不安なのに立ち向かったシーンだったのに。
塩水を用意しろ、というだけで道真の活躍自体は描かれなかったし。
原作では「若者らしく祭りに遊びに行っているのだ」と業平が勘違いしているのも含めて
一歩”大人”の世界にまた踏み出してしまう道真という感じが好きなエピソードだったのに。
ここと、山桜を守ろうとしていた女を昭姫にしてしまったのは自分は嫌だった。
なので2幕そうそうにもしやと思い、道真が手が…と言い出して察して
この展開嫌だなぁと悶々と観ていたら善男の件で決定打でがっかり、
終わり悪ければ全て印象が悪い舞台になってしまった。
どこを切り取るかは好みの問題もあるし、
改変も原作者が了承しているので飲むべきなのだろうが、
流石にこの2点は個人的にはどうしても許せない改変だった。
全体的にキャラの掘り下げに繋がる描写が少なくて勿体ない。
尺も限られているので全部は当然無理だけれど、
お兄さんのことにしても高子様のことにしても中途半端で。
だったら他の部分をカットして道真に絞って、やはり父との会話は必須だったと思う。