公式サイト: https://11zokugun.com
時代背景的に非常に期待して観に行ったのだが、
開始10分で期待薄と予感したレベルで駄目だった。
最後までその予感が覆されることなく終わってしまった。
つまらない、自分に合わない映画はまぁあるものだが、
どういうつもりでこれを作ったのか怒りに震えるレベルなのは
トイ・ストーリー4ぶりだと思う。存在が冒涜。
良い役者と予算をふんだんに使った駄作。
仲野太賀さんのお芝居は好きだった。
兎に角冗長に過ぎる。
プロット自体は多分つまらないものではないのだと思う。
恐らく脚本段階の問題だ。
諸々の無駄なエピソードを切り捨てて
誰が主人公なのかはっきりさせて2時間弱にまとめたら
もしかしたら化けたかも知れない。
正義や信念がある人間が辛うじて鷲尾くらいで誰にも感情移入できず
気分良く見ることもできない。
鷲尾、加奈、なつは好きではあった。
山田孝之さん演じる政が主人公かと思いきや、
復讐までは良し、妻のさだの元に戻りたくて脱獄という訳でもなく
武士に従いたくないだけで、何度も脱走を試みるのが情けない。
なつがびしっと言ってくれて少し気分が良かったが、
その後も脱走を繰り返すしまともな台詞も大して無いのに
薩長軍に裏切られたと思ったら急にやる気になって戦う。
結局大事な妻はひとり残され幸せな生活を送れそうには見えない訳で、
独りよがりで何がしたかったのかわからない。
なつをわざわざ男と同じ牢に放り込むのも気持ちが悪い。
さだといいなつといい、女をそんな目に合わせたい趣味でもあるのだろうか。
時間稼ぎに藩士を使いたくないから罪人まではわからなくもないが、
女を入れてたった10人、罪人に武器をもたせてたった3人の藩士で押さえられるわけもないだろうし
たった13人で短時間とは言え砦を守れる訳がない。
設定から効果音からなにもかもにリアリティが無さすぎる。
慶応四年の段階で攘夷を叫んでいた奴などいるものか。
尊王も攘夷も偉そうに掲げていた薩長はまるきりどちらも嘘だったことくらい
民草は兎も角ある程度の地位がある人間は知っていただろうに。
砦の内からは加奈がしれっと馬でやってこれるのも不思議。
双方見張りも立てていないのだろうか。
急に鷲尾が恰好良くなりだすが、まさかエンドテロップで
山田孝之とダブル主演風に名前が並ぶほど重要な役だとは思わなかった。
鷲尾が自分が十一人目と言い出すタイミングはもっと早くて良かっただろう。
言い出した時は既に半分ほど死んでいてもう十人もいないではないか。
もうちょっと政と鷲尾の絆が育っていれば話も分かったのに。
大体、罪人たちの死に際も意味がよくわからない。
どうせ死に追いやるなら恰好良いシーンを用意してあげれば良いものを、
二枚目が「俺が行く」の台詞は恰好よかったが、なぜ橋を落とすのに
橋の真ん中で焙烙玉に直に火をつける必要があったのか。
結局後で橋を落とす時は手前の綱を切っていた訳で、最初からこれで良かろう。
おろしやは手の火傷でもう医者になれないと言い出して死のうとするし
野口英世が聞いたら吃驚するのでは。
赤丹が隠れている場所から這い出したのも謎。鷲尾が逃げる隙を作った訳でもなく。
そして鷲尾が躍り出ると撃たれない。
刀を抜けと言ったのに撃ってくる溝口というのは最高に最低で良かったと思う。
あの屑家老の天罰が愛娘の死というのがどうももやもやするが。
娘はまともだったばかりにのうのうと生きることもできず、可哀想だ。
新発田藩は裏切者だと自分は思っているが、
そんな中にも新発田藩にも事情があった、というような内容が描かれるのかと思ったら
家老が一番クズ、まともな藩士もいたが基本民草もクズ、でしかなかった。
地元の協力があってこの描かれ方で納得しているのだろうか。
同盟に参加はしておいて出兵せず、裏で薩長と話し合って指示を仰いでいたら
裏切者の誹りは免れまい。
同盟に参加を迫られて困っているならまだわからなくもないが。
藩士が暗躍して領民を蜂起させるところも卑怯極まりない。
まだ新発田藩にだって理由はあったのだと言ってくれる方が良かった。
実際史実にあった、あちこちから金や米を貸せと言われて窮したり、
民たちが出兵を邪魔してどうか薩長軍と戦わないでくれと言ったとか
柵を作って竹槍まで作ったとか
田畑が今荒らされたら困るとか、尺を使うならそのエピソードを持ってきて
折角育っている稲を前に嘆願される溝口が
なんとか国内で戦が起こるのは防がねばならないと思うであるとか
そんな作りでは駄目だったのか。
この映画だと、結局やっぱり新発田はクズでしかなく、
家老だけでなく藩主もクソガキだったのだが
こんな描き方で大丈夫なのだろうか。地元の方は本当にこれで良いのか?
芸人さんのキャスティングが多過ぎてはっきり言って邪魔。
芸人さん本人が悪い訳ではないが、芸人さんが出てくると
芸人さんだな、としか思えないし
それを補って余りある演技力があるとか意味があるというならわかるが
(フラガールのしずちゃんなんかは本当に素晴らしかった)
この映画ではノイズでしかなかった。
PG-12であんなに身体欠損や断面の描写をしても良いとは思わなかった。
生首出過ぎ。
その割に血の吹き出し方がチープでアンバランスなのも気になった。