正直、ワクワク感半分、まだ擦るのかという気持ち半分。
でも踊るシリーズは好きだったので気になり観に行ってみた。
晩節を汚すというほど駄目だとは思わないが、面白いとも言えない。
エンタメ作品なのだから
シリーズを見たことがない人でもある程度理解して
楽しめる内容にすべきだし
二部作とは言え別々の物語なのだから、一定の終息は見せてほしかった。
これでは単に踊る公式ファンムービー前編である。
全部散らかしっぱなしで大して切りも良くないところで
物語が終わってしまったし、タイトルで『敗れざる者』と謳いつつ
内容はずっと自分は負け犬だ、という人の話だった。
敗れざる者たちというルポがあって、それは
才能に恵まれながらも栄光をつかむことのできなかったスポーツ選手の話
だそうで、そこから引用しているということなのだろうか
とも思ったが、プロデューサーの話を読むとそういう意味でもなさそう。
思い破れてきている室井さんでも、決して“破れざる者”であってほしいという自分の中の願望みたいなものがありました。
https://www.cinematoday.jp/news/N0145333
この内容で、敗れていないという描写のつもりだったのだと思う。
映画館にまで観に行くからにはある程度シリーズが好きで
思い入れがある人が殆どだと思う。
そうなると、過去の映像が挟まれたり、過去作に出ていた人が出てきたり
「約束を果たせなかった」という室井さんの言葉だったりで
うるっとはきてしまう。
しかしストーリーや演出が良かったかというと
結局過去作が好きでその歴史をリスペクトしているだけで
けして本作が面白かったとは言えないと思う。
全編通して大小様々の違和感が有り過ぎてストーリーに集中できない。
登場人物がみんなして開けたドアを閉めない、
独身で無職の男性が元警官だからと里親になれてしまう、
重たいトランクのはずなのに小学生が軽々段差を持ち上げる、
メス犬にシンペイという名前をつける理由が不明、
死体の第一発見者は散歩中の男性なのに、村の人間も警察も
室井さんだと言う、等など。
若手警官の乃木が兎に角うざい。
ギャグ要員としてもしつこすぎる。
桜もうざいが尺の問題でぎりぎり耐えられる範囲だった。
このノリを通すのは『深夜も踊る大捜査線』なら許されたと思うが。
レインボーブリッジが封鎖できなかったもちょっとしつこかった。
遺体が見つかって平和に暮らしていたのに警察に引き戻される
みたいな話なのかと思ったら
それにしては色々盛り込みすぎで雑音が多い。
警察でも村でも異端児扱いされている姿は気の毒だし、
村の寄り合いに出ずに白い目で見られるのはあるあるだとしても
害獣駆除を手伝えと言ってひとりだけハンターベストもなく
目立たない格好をさせられ誤射に見せかけて撃つ気なのかと思う演出は
どういう意味があったのか。
次回作で回収されるのならば良いのだが。
市毛きぬとの会話で十分、村で暮らすのも大変というのは
表現できていたと思う。
新城が話をしたいだけで子どもたちの目の前で強制連行させる
というのもちょっと理解できなかったし、
そこまでしたのに室井さんの誘いに応じて自宅で飲み直すのも
よくわからなかった。
察知して日向杏の母親のことを確認したまでは良かったが、
自分もタカも杏を警戒している割に全く対策をしていないようにしか
見えない。
単に乃木が仕事をしてないという話なのだろうか。
強制連行も杏が虐待されているとか通報でもしたのかと思わせる
ブラフの為だったのだろうか。
タカは室井さんを信じている割には室井さんに冷たくなるし
かと言って杏の言うことを信じたなら杏と室井さんを二人にさせるのは
良くないことくらい分かるだろうし
どういういじけ具合なのか疑問だった。
タカにつきまとう弁護士も非常にうざかったし
お父さん一年生だからどこまで干渉してよいかわからない
ということだったのかもしれないが、
保護者としては面会に行かせる必要はなかった。
立ち会ってくれたこと、弁護士を退けたところは恰好よかった。
タカが室井さんを尊敬してくれているのは良いのだが
それならここまでにもっとそういう描写があって良かったと思う。
タカの言葉を聞いてあんなに態度が悪かった犯人が
あっさり罪を認めるのも随分な展開だった。
本作をタカの話、自作をリクとの話をメインにすれば良いものを、
そうするにはタカ周りの描写が浅いし杏がノイズ過ぎる。
これまでかえる急便、キムチラーメンは架空だったのに
今回これみよがしに度々ラベルを大写しにして
厚岸ウイスキーで晩酌をする室井さんを映す方針変更は何故なのだろう。
コラボ商品が売られたことはあるが作中でこんなことあったのだろうか。
テレビではなく映画なのに違和感が大きかった。
このゴリ押し感、個人的には寧ろ厚岸蒸溜所のイメージダウンだと感じた。
全体的にどれもこれも演出がしつこい。
テレビドラマ版は面白かったなと改めて思うのみである。