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ドラマを見て面白かったので舞台情報を調べたら、
丁度その日が先行受付最終日だったので勢いで申し込んだ。
開演時刻と劇場の場所と勤務先と仕事が終わる時刻が噛み合ったので
久し振りの平日ソワレでチケットが取れた。
ただ昔と違ってソワレ前に軽くご飯を食べるとか、
観劇後に連れと飲みに行くといったことはできず
時間の余裕がないのでご飯は食べず、ひとりで見てさっさと帰る形式になってしまったが。
劇場は初めて行ったのだが、正直観やすいか観にくいかで言えば観にくい。
客席は椅子を並べただけで高低差もなく、きっちり千鳥になっている訳でもなく
ステージ上で役者が座ってしまうと何も観えなかった。
ただ臨場感という点では最高だった。
通路も使うというのはよくある手法だとは思うが、円形なだけに通路を使うと
会場全体を使っている感覚になる。
色々なことが同時進行で進んでいき非常に見ごたえもあった。
春がずっと辛くて、でも自分も春と同じように元に戻れるように、
ハッピーエンドになるようにとずっと願いながら観ていた。
が、途中から冬真が覚悟を決めてしまって後戻りできなくなり
どうしても思っていたハッピーエンドは望めないことがわかり
悲痛に顔を歪める春を見ながらこちらも悲しかった。
冬真は冬真で苦悩していて、楽しい話ではないし
ストーリーだけで言えばありがちな要素を集めた内容なのだが
構成力と演技力でチープさを感じさせない。
特にすっぽんを穴に見立てたり、
通路と円形ステージまでのルートで
お墓参りで鉢合わせの表現をしたりの舞台の使い方が面白かった。
主演ふたりはもちろん谷口さんと吉田晃太郎さんが特に良かった。
劇場については、椅子もパイプ椅子よりはマシだったがそれでもずっと座っていると
痛くなってくる程度の座面の硬さだし、
換気はとてもできているとは思えず、最後の方は二酸化炭素が増えて息苦しい実感があった。
臭いなども充満していて厳しいものがあった。
また非常にひっかかったのが、この日大き目の地震があり
観客のスマホの地震警報が鳴ってしまったことだ。
コロナ禍においては機内モードで可とされていたが
スマホの電源は切るのが常識である。
しかし日頃から直前までスマホをいじり、開演して客電が消えてからスマホを鞄にしまう人が多いとは感じていた。
それは電源は切れていないのでは? と疑っていたし、実際ブーブーとバイブ音がして興が削がれることもあった。
相当数の人間が、機内モードにも電源オフにもしていなかったせいで
かなりの量のスマホから大音量で各種の警報音が鳴り響いた。
あまりにも大音量だったので演出なのかと疑ったが、実際揺れているしどうやら本物の地震のようだ。
避難が必要な揺れには思えなかったが警報がうるさすぎて、仕切りなおすのかどうするのかと思って見ていたら、後ろから通路を歩いてきた役者が台詞を言い出したので
どうやら続行のようだと判断できた。
ただ警報はまだ鳴っていて、マイクを通した台詞すら十分には聞こえなかった。
観劇マナーを守って全員が電源を切っていれば、「あれ、揺れているかな」と内心で思いつつも
芝居を見ていることができただろうに、
会場もすっかりざわついてしまって集中力も完全に途切れてしまった。
Xで検索してみたが、これを『仕方のないこと』と捉えている人が多いようで、それにも驚いた。
警報は電源を切っていれば鳴らないものなので。
劇場内でも事前に電源を切るようアナウンスされているのに、指示を無視している、
そのせいで危うく舞台をぶち壊しにするところだったという自覚くらいは持ってほしいものだ。
東日本大震災の後、キャラメルボックスの芝居を観に行った時には
電源は必ず切って欲しい、裏でスタッフがきちんと情報は確認しているし
必要なら芝居を止めて避難誘導をする。
芝居を止める目安はこの照明が音が鳴るくらいの揺れ。
そうでなければ止めないので、ざわつかないで欲しい
というアナウンスがあった。
ここまで丁寧ではないにしろ、
誘導灯は演出上消灯する、スマホの電源は切って
という案内は即ち、地震に限らずスタッフを信頼し、情報は遮断して舞台に集中しろ
ということである。
少なくとも役者はそうしている。
スタッフが信用できない、警報が鳴ったらスマホを確認しつつ誘導されなくても避難するのだ
という強い意志があるなら百歩譲って仕方ないかもしれないが
大抵の人が面倒だとかそこまでしなくていいだろうという独りよがりな理由で
電源を切らなかったのではなかろうか。
音が鳴りやんでも一度ざわついた会場はなかなか元には戻らない。
みんな集中力が切れて浮足立っている。
すごいなと思ったのは谷口さんのアドリブ。
テレビをつけるシーンで、普段は別のことを言っているのか何も言わないのか知らないが
この日は
「へぇー、地震があったんだ。なになに、落ち着いて席を立たないで、
あー、ざわざわしちゃう人いるもんね」
とテレビのニュース速報を読み上げるような感じのアドリブを入れたところだ。
大音量の警報の結果なかったことにできない程ざわついてしまったので、
こうして触れることで元に戻りやすくなるし、
芝居は続行されるということも、避難が必要なほどではないことも、
ざわついて浮足立ったりしてはいけないということもわかる。
流石に百戦錬磨だなと感じた。うまいものだ。
観劇マナーは大変残念だったが、観に行って良かった。