某舞台を観に行く予定で楽しみにしていて、
ネットや雑誌などで特集記事が組まれていると目を通している。
しかしながら、インタビューの時期が早いようで
「いかがですか」と漠然と問われても
「脚本をもらっていない」「脚本をもらったばかりでまだわからない」
という回答ばかりなのだ。
勿論俳優さんはそう前置きしつつ、
こういう心構えで頑張ろうと思います、とか
前に共演したことがあるので勝手がわかるので大丈夫だと思います、とか
それらしい答えを捻りだしてはくれているのだが
どう考えても取材時期が可笑しい。
舞台についてどうかと問いたいのなら、稽古が始まってからでなければ
それは具体的なことも答えられる訳がないのだ。

そんな時期に取材をするのはなぜなのか。
出版社側の問題もあるだろうし、俳優サイドの問題もあると思う。
最近の若手役者は忙し過ぎる。
出演陣ができるだけ揃っている、番宣などの時に合間で
複数の媒体の取材を受けていたりする。
そうなると時期も限られる訳で、どの媒体を見ても
ヘアスタイルも衣装も同じ、答える内容も同じになりがちだ。
誰もが忙しくて、タイパ・コスパを求める時代。

色々な媒体に出ることで宣伝しできるだけ裾野を広げるのは
当たり前のことなのだが、正直この記事で裾野が広がるのかは疑問である。
元々俳優のファンの人は追っているから記事は読むだろうし
写真やコメントで一定の満足はするだろう。
そういう人は元々観に行く予定だった人が大半と思われる。
では観に行く予定がなかった人、迷っていた人はどうか。
稽古も始まっていない、俳優もどんな内容になるかわからないけど
きっと面白くなると思います! という記事を読んで
そうなんだ、じゃあ観に行こうとはそうならないのではなかろうか。
何故なら観客側だって忙しいのだ。タイパ・コスパが大事なのはこちらも同じである。
こんな稽古をしていますとか、それに密着した写真だとか
そういったものを見てこそ「面白そう」「観てみたい」と思うのではないのか。
況してや演劇に興味がない人が、この記事を見て行きたいと思うわけがないのでは
と思ってしまう。
どの層に向けてこうした記事を書いているのだろう。
今いるファンに向けて書いてくれるのはありがたいが
それにしたって内容のある記事の方が嬉しいし
この記事を読んで「この舞台面白そうだな」と普段観に来ない人が
思ってくれるような記事の方が、演劇ファンとしても嬉しく思う。
今いるファンだけにアピールしていても、観劇人口は減りこそすれ増えはしないので
取材時期なり取材内容なり工夫してもらえないかと思うのだが
難しい話なのだろうか。