長男を失い嫌と言うほどこの世界の汚さを知っている父が
道真をここに来てはいけないというのはよく分かる。
しかし道真が、才を役立てるには力が必要と考えるのもまた正しい。
兄と基経がもう少し違う出会い方をしていたら、
なにか変わっていただろうか。

馬頭鬼の始末の話なども懸命に言語を勉強し
話を聞き出し、刀を返して放ってしまうのは道真らしい。
それで無事逃げおおせることができるとは
本人も思っていなかっただろう。

米算用の帳尻合わせの話も短いが面白い。