久し振りに重厚な小説を読んだという印象。
筆者が上毛新聞の記者であっただけに描写が深くリアルだ。

自分自身は日本航空123便墜落事故についてあまり深くは知らないが
衝撃を窺い知ることができる。
現場に行った人が、行っていない人にはわからないという感覚になるのも無理は無いし
自覚できないストレスも蓄積したことだろう。

一番好きなキャラクターは佐山だろうか。
大久保連赤世代の社員が邪魔をしてくるところは読んでいて正直イライラしたし、
全権デスクと言いつつちっとも全権が委ねてもらえないところも歯がゆい。
書き得だと思ったのに事故原因を書かなかったのは自分としては意外な判断だった。

良くも悪くも昭和の世界で、正直自分の感覚ではしっくりこないところは多かった。

当時のことだけでなく、現在の主人公の視点も交えて書かれており
登山のシーンはとても良い。
タイトルを聞いて始めに期待したほど登山がメインの話ではないが
作中にあったとおりクライマーズ・ハイは
解けた時にまだ山登りの最中だった時恐怖で足が竦みそうで
色々とタイトルについても考えさせられた。