BEASTARS 5 (少年チャンピオン・コミックス)

昔の文学小説を読むと男性が女性の前で暴力的なことを言って
女性には浴びるというシーンが出てくるが
この世界の肉食も草食に対してそのような紳士的な態度をとっているのが
とても印象に残る。

市長がハルの誘拐の件を揉み消そうとするが
格好をつけて自分が何とかすると言ったところで
ハルが戻ってこなければ何もしていないことがばれると思うのだが。
話を聞いて尻尾を逆立ててるほど怒っていたレゴシが
まずルイを探すというのもハルの本当の気持ちを慮ってのことだし
「ハルは俺がもらう」というレゴシが恰好良い。
「好きにさせろ」頼むと内心思っているルイの苦悩もわかる。

ゴウヒンさんが味方になってくれるのは心強い。
ジュノに止められなかったと謝るルイ。ルイにとって今
唯一の本音が言える相手だろう。

大きくなっても子供を見る目で見られることが嫌で
対等な嘘の無い交流を求めていたハル。
彼女の生き方に納得行くものがあった。
恋しているのはルイでも
全力でぶつかってきてくれたレゴシに恥じない最期をと
ハルちゃんが奮い立つところが良い。

服を投げてあげて、助けに来た理由は
あり過ぎてちょっと言えないというレゴシが可愛かった。
自分がオオカミに生まれた意味。
きみにみせるべきじゃないかもしれない。ごめんよ、
と言いながら封印してきた牙を使い、
判定は君の自由だと嫌われ怖がられることも辞さない。
生まれた意味をみんなさがしてるというジャックの言葉も素敵だ。
犬科だから自制心があるというのもなるほどと思う。

ルイも来ていたというのは驚いた。
命懸けで助けてくれたレゴシが目の前で安い焼きそばを食べている、そういう映像こそ心に残る描写に共感した。
今夜のレゴシくんは何をしても、間違いにはならない
というのはすごいセリフだと思う。

無事だった報告も兼ねてまずゴーヒンさんのところへ行けばいいのにと正直思うが
慣れていて動じない感じのハルちゃんが面白い。