大奥 (第十七巻) 感想

観行院が、既に病んでいるだろうとは言え
親子のことを全く考えない言動で酷い。
そのこともすべてわかっている上様が
本当に良い方で、その上で諸々差配してくれるのが優しい。
そして親子に自分がいる、城を守ってくれと声をかけてくれる。

さと姫をきっかけに天璋院と親子の距離が近付くのも良い。
孝明天皇が家茂を信頼したことやお土産の史実も
うまく取り込まれている。
あまりメインで心情を描かれてはいないが、
帝もどんなにか孤独で、だからこそ家茂を頼りたかっただろうか。

親子さんから言い出してくれた側室だけれど、
妊娠してる暇がないと上様が断るのがなるほどと思うと同時に
女の人が出産育児とそれ以外のことを両立するのは
物理的に本当に難しいなと心底思う。

参与会議が薩摩の裏切りの伏線になってしまうのも複雑な気持ちだ。
平穏でも廃れているより、物騒でも今のほうが面白い。
そんなものだろうか。
遠慮のない親子の言葉がみなの心を動かすのが良いシーン。
政を慶喜に渡したくないと家茂公が決意するのも重いが、
史実の履物のエピソードがここで使われているのが心憎い。

必ず血の繋がった我が子にあとを継がせなくてもいいし
信頼に足る人物なら夫婦でなくても二人で人の子の親になっても良い。
家茂公は本当に先見の明のある御方だ。

お百度参りも史実だが、それに加えて
自分が子供を産めば良いという発想がこの設定ならではですごい。