黒木さんたちの態度がきっぱりしていて良い。
高橋景保のキャラは予想外だったがとても良かった。

赤面疱瘡の再流行というそれ時代は良くない出来事だが
彼らを後押しすることになる流れに
運命というようなものを感じもする。
青史郎くんがとてもしっかりしていて
危険だとわかっているのに自分は孫次郎くんに付き添ってしまうところが切なく
だからこそ助かってくれて本当に良かった。

期待していた種がかさぶただったこと、
隠密の人は出来る限りしてくれたものの
内心気落ちしても仕方ないのに、冷静で労いもしてくれる黒木さんの人となりが素晴らしく
この親にしてこの子ありなのだろうと思う。
おるいさんも青くんが無事だったことがわかってすぐ
景保の家に行く所が素晴らしい。嫉妬していた相手でもあるのに。
だが残念ながら時既に遅く、非情である。

瓦版という発想が、平賀源内ならどうしたか
という考えによっていたことも泣ける。
景保を初めみなが協力的なところも感動した。

御台所の姿が気の毒でならない。
子供のように泣く御台様に、
「あんなに幸せであったのに」と謝る上様のシーンで泣いてしまった。

松方さんの気転が非情に良かったが
それで集めた男たち相手に、色に耽るのではなく
またしても命を弄ぶ治済が気持ち悪すぎるし
何故彼女の味方をする者が一人でもいるのか
という気持ちになってしまう。

上様が接種の様子を見に行って、こっそり黒木さんに謝るところや
番号札を発案するところが地頭と人の良さを感じる。
それなのにどうして母親には逆らえぬのだろう。
過去の経験で毒が入れてあるだろうことはわかっていて
御台が食べてしまうのを突き飛ばしてでも止めもせず。
いくらお飾りとは言え、将軍なのにどうしてこうも治済が好きに振る舞えるのか。
外から見ていたら目に見えて可笑しいことが
中にいると分からないものなのだろうが。

御台様もお志賀さんも賢い方たちなので芝居ではないかと期待していたので
実際そうであったことは嬉しかったが、お志賀さんまで命を落としてしまうのは辛い。
御台様がお咎めを覚悟していると告げる姿、
母を助けたいという上様の言葉に「誰かある」と声を上げる姿
とても凛々しく恰好良かった。

上様の熊痘政策が苛烈なものであったことも辛い。
人の良さが取り柄だったようなものなのに
裏切られた思いも手伝ってなのだろうが人が変わってしまった。
これも治済の残した負の遺産のひとつだろう。
邪魔な者は殺せば良いという発想を幕府に残したことも酷いことだ。
こんなことになるもっと前に、治済自体をなんとかできなかったものか。
結果御台とお志賀だけに任せることになったのも随分酷い事態だった。


景保のその後がモノローグだけで語られるコマも印象的である。

青くんが青順と名乗って医者を続けていることも、
子供の名前が源三郎なところも、続いているという感じがして先の明るさを少しでも感じられる演出が良い。