ネタバレあり

ある日兄から届いた「助けてくれ」というメール。
添付されていた写真だけを頼りに、大学生の徳丸が単身西チベットに向かうところから話は始まる。

日本語のできるガイドのソナムとキッチンボーイのナムギャルの3人で兄を探す旅をする徳丸。
徳丸が登山やチベットに関する知識があまり無く、
かと言ってだから我儘で足を引っ張るということも無く
守られているばかりの存在でも無いところが頼もしい。
メールひとつで知らない外国の町へ行くバイタリティもさることながら
そこまでしても良いと兄に対して思っていそうな
兄への感謝や贖罪の気持ちがあるらしいことが
少しずつ明かされていく。

筆者が西チベットに関する知識があり、
ご自身の知識を元にされているせいか
現地の様子がとても生き生きと描かれ、自分も旅をしているような気持ちになれる。
お勤め中に食べるバター茶やツォンパ、
腕を伸ばした時の見え方で時間を計るやり方、
読経や外の日差しなどが美しい。
人の表情もとても豊かに描かれている。

3人のキャラクターも段々と明かされ意外な一面も見えてくるし、打ち解けていく様子も見ていて楽しい。