【読了】銀河英雄伝説〈3〉雌伏篇 (創元SF文庫)

ネタバレあり

台詞や描写が小気味良いものが多く、読んでいてにやっとする。
出来の悪い新兵と同程度かそれ以上に出来の良すぎる者は睨まれる
軍隊に限らず人間はこういうところがあるだろう。
ビュコックの「わしらは仲間だというわけだ。世代は違ってもな」という台詞も痺れた。
ヤンの査問委員会での立ち振舞いも、不愉快な査問の中にあって
溜飲が下がる思い。
忍耐と沈黙はあらゆる状況において美徳となるものではない。
耐えるべきでない時に言うべきことを言わないと相手は際限なく増長し
エゴがどんな場合でも通用すると思い込む。幼児と権力者を甘やかしつけ上がらせてはいけない。

政治家とは社会の生産になんら寄与せず
市民が収める税金を公正に再分配することで給料をもらっている。
よく言って社会機構の寄生虫でしかない。偉そうに見えるのは錯覚。
この言葉も、個人的に今政治家に失望している状況で読んだもので
大きく頷いてしまった。

ユリアンがヤンのことを、多勢に交じると目立たないがいないとなるとすぐわかる人
と評価しているのも興味深い。
二人のやり取りがとても微笑ましくて好きだ。

暴力には抑圧するための暴力と解放の手段としての暴力がある。国家の軍隊は前者。
国家の軍隊に属するヤンから出てくる言葉だからこそ、重く感じる。
”正義”の為に働きたいのに、うまくいかないのは何故なのだろう。
ユリアンは実力があるだけに、この先どうなっていくのか心配になる。