ホラー映画でゾンビや殺人鬼に追われるシーンがある。
野外やショッピングセンターを逃げ惑う。
家の中に閉じこもる。侵入されて、風呂場に立てこもって
鍵をかけて一息ついたら壁を壊される、
なんていうのはありがちだと思う。

籠城は城が強固で兵糧が潤沢にあり、
かつ援軍が来ることが前提の戦法だ。

その見込みもなく鍵をかけて閉じこもっても
自分で退路を断っているも同然なので
追い詰められてしまう。

防御の範囲は狭い方が良いものの、
逃げ回れる範囲は広い方が良い。


コロナ禍においても、防ぐのはまず国であった。
日本にウイルスを入れてはいけなかったのだ。
その時点なら間口は狭く守りやすかった。
国に入れてしまった時点で逃げ場はどんどん狭くなっていく。
防御ラインは最終的には各々が
個人の体に入らないようにということになる。

現状多くの人が自粛要請に応えて
家に閉じこもっている段階だが、
この期に及んでもマスクやそれに類するものを口にあてず
ソーシャルディスタンシングも考えず
観光地に出かける者もいるレベル。
そんな状態では感染は収束せず、
自粛が長引けば長引くほど経済的な打撃は大きくなり
今自粛している人も、限界が来て
命の危険を冒してでも外へでなければならなくなる。


自分自身、1月末にはまだ、それでも
インフルエンザより怖い程度に考えて予防しつつ
普通に仕事をしないと経済を止める訳には
と思っていた。
しかし事ここに至って、完全に外出禁止にしないことには
完全に医療崩壊が起きる。
かと言ってこのままでは経済的な打撃は止められない。

短期決戦なら
一般人は一ヶ月外出禁止、
エッセンシャルワーカーは危険手当として
国民1人あたり30万の”詫び石”配布で
その月は企業も給料を払わなくて良い等すれば
耐えきれるかと思っていたが
だらだらと自粛が続いており、10万円もいつもらえるか。

エンタメ系の仕事をしているので
自粛要請が始まってから軒並みイベントが中止になり
現在会社としての収入はほぼゼロ。
給料をカットすると言われているが、
それだけでは済まない状況になってきている。
政府の支援頼みだが、場合によっては倒産もあり得るだろう。

政府に対して、思うことはかなりある。
だが、文句を言っているだけでは駄目だとも思う。
文句を言ってどうにかしてくれるわけもないという
諦観もなくもない。

助けてくれと会社や上司、親、親戚、国など
自分より”上”の人間に文句を言うだけの人は、
多分今まではそうする前に周りが助けてくれたし
今度も助けてくれるのが当たり前だと思っているから
早くしろと怒っているのだと思う。

勿論、政府など”上”の人間に助ける義務はあるので
それ自体がいけない行為であるとは言わないが。

パニック映画なんかでは、国としての機能が崩壊していて
助けがない状態から始まることも多い。
助けが無いなら自分でどうにかするしか無い。

もし現実で、たとえば国会がクラスターになったら。
助成金申請でただでさえてんてこ舞いの役所が
クラスターになったら。
ありえないことではない。

どの段階にまでなったら人は気づくのか。
正常性バイアスがかかっていて、
気が付きにくいのが普通だろう。

今のうちから、助けが遅いと怒るよりも
助けは来ないと思って動いておくしかないのではないか。


自分がCOVID-19に罹らないように守る。
副業をしつつ転職も視野にいれて自分の生活を守る。

それは勿論大前提なのだが、他に自分にできることはないだろうか。
自分が愛するエンターテイメントの世界を守ること
大好きな仲間たちと一緒に、みんなを笑顔にできるなにか。
自分に守れる範囲はどこまでなのか
ずっと考えている。